バス通勤の通勤手当
バス通勤の通勤手当
バスで通勤する従業員には、通勤手当として、バスの定期券代を支払わないといけないのでしょうか?
労働基準法上は、そのような義務はありませんが、就業規則の規定の仕方によっては、そのように義務付けられることがあります。
所得税法によって、通勤手当の非課税限度額が定められていて、その範囲内で通勤手当を支給している会社が一般的です。
そのため、電車を利用して通勤する場合は、「非課税限度額=定期券代」と考えられますので、「定期券代の実費が支給される」と思い込んでいる従業員が多いです。
バスを利用して通勤する場合は、「バスの定期券代の実費が支給されるはずだ」と考える従業員もいるでしょう。
電車通勤、バス通勤、車通勤、自転車通勤、徒歩通勤など、通勤手段は様々ですが、労働基準法では、どの通勤手段であったとしても、通勤手当を支払うことは義務付けられていません。
通勤手当は、それぞれの会社のルールに基づいて支払っているものです。通常は、就業規則(賃金規程)を作成して、通勤手当の支給対象者や支給額の決定方法等を定めています。
その就業規則(賃金規程)で、「公共交通機関を利用して通勤する者に対して、定期券代の実費を支給する」と規定しているとすると、バスは公共交通機関に該当しますので、バスの定期券代の実費を支給しないといけません。
また、就業規則(賃金規程)の規定の仕方を工夫している会社では、但し書きで、「会社が認めた通勤経路で往復した場合の費用」と定めているケースがあります。
そのように定めていれば、例えば、自宅から会社まで、バスの区間と電車の区間があって、会社がバスの区間を認めなければ、バスの区間に対する費用(通勤手当)を支払うことは義務付けられません。
ただし、バスの区間を認めたり、認めなかったりする場合は、不公平な取扱いにならないように、自宅から電車の最寄り駅までの距離が3km以上の場合はバス通勤を認めるといった基準を設けることが望ましいです。
また、従業員を採用するときは、労働条件を明示することが義務付けられていて、雇用契約書や労働条件通知書で明示する事項の1つとして、賃金(手当)に関する事項が定められています。
採用面接の際に説明していると思いますが、通勤手当の支給額の決定方法について、改めて従業員に説明して、思い違いがないことを確認してください。