女性従業員に家族手当を支給
女性従業員に家族手当を支給
当社で勤務している女性従業員の夫が、会社を退職して失業中のようです。女性従業員が夫を扶養している形になっていますが、女性従業員にも家族手当を支給しないといけませんか?
就業規則(賃金規程)に定めている条件を満たしている場合は、女性従業員であっても、家族手当を支給する必要があります。
家族手当の支給は、労働基準法で義務付けられていることではありません。家族手当を支給していない会社も多いです。
したがって、家族手当を支給する場合の条件や支給額の決定方法については、それぞれの会社が自由に決定できます。通常は、就業規則(賃金規程)を作成して、定めていると思います。
そして、就業規則(賃金規程)に基づいて、家族手当の支給要件を満たしている場合は、女性従業員であっても、家族手当を支給する必要があります。
就業規則(賃金規程)において、次の事項について、具体的に定めていないと、トラブルの原因になります。
- 支給対象とする家族の範囲
- 家族ごとの支給額、上限人数を設定する場合は上限人数
- 同居を条件とするかどうか
- 扶養の条件(健康保険法上の被扶養者とする、所得税法上の扶養親族とする等)
労働基準法(第4条)によって、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」と規定されています。
家族手当の支給対象者を男性従業員に限定する取扱いは、この規定に違反する行為となります。
稀に、支給対象とする家族として、「妻」と記載している就業規則(賃金規程)を見掛けることがありますが、労働基準法違反になりますので、「配偶者」に修正する必要があります。
なお、労働基準法第4条に違反する者は、6ヶ月以下の懲役、又は、30万円以下の罰金が定められています。
また、労働基準法に違反する取扱いは無効ですので、差別的な取扱いをしたと認められると、公平な取扱いをしたと仮定した場合の賃金(家族手当)を支払うよう命じられます。
そして、就業規則(賃金規程)に、健康保険法上の被扶養者であることを条件として定めているとすると、夫を健康保険法上の被扶養者としていれば、女性従業員に対して、家族手当を支給する必要があります。
また、子を女性従業員の被扶養者に追加した場合は、その子に対する家族手当を支給することになります。
当然ですが、条件を満たしていなければ、家族手当を支払う必要はありません。