通勤手当の支給義務

通勤手当の支給義務

通勤手当は、実費を支給しないといけないのでしょうか?

労働基準法では、通勤手当を支給することは義務付けられていません。

労働基準法では、労働させたときは賃金を支払うこと、時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたときはそれぞれ割増賃金を支払うことが定められています。

また、最低賃金法により、賃金の最低額が定められています。

なお、通常の賃金に加算して支給する通勤手当は、所得税法により、一定の限度額まで非課税となっています。

通勤に要する費用を補助するために、通勤手当を支払っている会社が大多数ですが、通勤手当を支払わなければならないという法律はありません。

法律的には、通勤手当を支払う義務はありませんので、通勤手当を支給するかどうか、支給額をどのようにして決定するかは、会社が自由に決められます。

ただし、雇用契約書や就業規則で支給することを定めている場合は、その内容に基づいて、通勤手当を支給しないといけません。

あくまでも法律は最低限の基準を定めているものですので、会社がそれを上回る労働条件を約束した場合は、その約束(雇用契約書や就業規則の内容)が優先されます。

また、「労働基準法で支給が義務付けられていないから」という理由で、これまで支給していた通勤手当を減額したり、不支給にしたりすることは認められません。

ところで、通勤手当の支給に関して、複数の通勤経路がある場合に、どの通勤経路を利用した場合の費用とするのか問題になることがあります。

基本的には会社が決めることですので、就業規則(賃金規程)には、「本人の申請に基づいて会社が認めた通勤経路で往復した場合の費用とする」ことを記載しておくようお勧めします。

また、自転車通勤の場合に通勤手当を支給するかどうか、駐輪場の費用は支給するかどうか、といったことも曖昧になりやすいので、これまでの取り扱いを考慮して、就業規則(賃金規程)で明確にしておいた方が良いでしょう。