育児休業の勤続年数の取扱い
育児休業の勤続年数の取扱い
育児休業を1年間取得した従業員が職場に復帰するのですが、年次有給休暇を与えるときは、勤続年数は1年差し引いても良いでしょうか?
労働基準法によって、育児休業を取得した期間は出勤したものとみなすことになっていますので、勤続年数から育児休業を取得した期間を差し引くことはできません。
労働基準法によって、年次有給休暇は、次のように勤続年数に応じて定められた日数を付与することが義務付けられています。
勤続年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5年以上 |
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付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
労働基準法(第39条)の規定では、“継続勤務年数”と記載されていますが、通達によって、これは労働契約が存続している期間で、要するに、在籍期間を基準にして付与することが示されています。
したがって、例えば、在籍期間が3.5年になる従業員がいて、直前の1年間は育児休業を取得したとしても、勤続年数は3.5年とみなして、14日の年次有給休暇を付与しないといけません。
また、4月1日に在籍期間が3.5年になる従業員がいて、同年の10月1日に職場に復帰したとすると、4月1日にさかのぼって、14日の年次有給休暇を付与する必要があります。4月1日に付与した年次有給休暇は、付与日から2年間は有効に利用できます。
また、労働基準法(第39条第10項)によって、年次有給休暇の付与に関して、育児休業をした期間は、出勤したものとみなすことが定められています。他の従業員と同様に、普通に出勤していたものとして取り扱わないといけませんので、この規定からも勤続年数に通算することが明らかです。
ところで、勤続年数については、年次有給休暇の付与日数の基準となる以外に、退職金額を計算したり、永年勤続表彰を行ったりする際の基準としている会社があります。
労働基準法で定められている年次有給休暇を付与するときは、育児休業の期間は勤続年数に含めないといけませんが、それ以外の会社が任意で設けている制度については、育児休業の期間を勤続年数に含めるかどうかは会社の自由です。
勤続年数に含めるかどうかについて、労使間でトラブルにならないように、就業規則、退職金規程、育児介護休業規程等で明確に定めることが望ましいです。
稀に、退職金規程では育児休業の期間は「勤続年数に含めない」と規定しているにもかかわらず、育児介護休業規程では「勤続年数に含める」と規定して、矛盾しているケースがありますので、注意が必要です。