育児休業期間の勤続年数の取扱い

育児休業期間の勤続年数の取扱い

従業員が育児休業を1年間取得して職場に復帰しました。年次有給休暇を付与するときは、育児休業の期間は勤続年数に加算しなくても良いでしょうか?

労働基準法によって、育児休業を取得した期間は出勤したものとみなすことになっていますので、育児休業期間は勤続年数に加算しないといけません。

労働基準法(第39条第1項)によって、次のように規定されています。

また、労働基準法(第39条第2項)によって、勤続年数に応じて、次の日数の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。

勤続年数付与日数
0.5年10日
1.5年11年
2.5年12年
3.5年14年
4.5年16年
5.5年18年
6.5年2年0

労働基準法の規定では、“勤続年数”ではなく、“継続勤務年数”と記載されています。これは通達によって、労働契約が存続している期間、要するに、在籍している期間であることが示されています。

したがって、例えば、2020年1月1日に入社して、2023年1月1日から2023年12月末日まで育児休業を取得して、職場に復帰したとします。

この場合は、2023年7月1日に、勤続年数(在籍期間)が3.5年になります。育児休業の期間中ですが、その日に14年の年次有給休暇を付与する必要があります。

なお、育児休業の期間中は、年次有給休暇を取得できませんが、年次有給休暇の時効は付与日から2年間と定められていますので、その間は利用する権利があります。

そして、職場に復帰して、勤続年数(在籍期間)が4.5年になる2024年7月1日に、16年の年次有給休暇を付与することになります。

ところで、年次有給休暇は、第1項のとおり、出勤率が8割未満の従業員には与えなくても構いません。

労働基準法(第39条第10項)によって、次の期間は、「第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす」ことが明示されています。

  1. 業務上の傷病のために休業した期間
  2. 育児休業又は介護休業をした期間
  3. 産前産後休業をした期間

育児休業の期間は出勤したものとみなして、出勤率を計算しますので、他の従業員と同様に、通常どおり出勤したものとして取り扱わないといけません。この規定からも、育児休業の期間は勤続年数に通算することが明らかです。

また、勤続年数については、年次有給休暇の付与日数の基準とする以外に、退職金額を計算したり、永年勤続表彰を行ったりする場合の基準としている会社があります。

労働基準法で定められている年次有給休暇を付与するときは、育児休業の期間は勤続年数に加算しないといけませんが、それ以外の会社が任意で設けている制度については、育児休業の期間を勤続年数に加算するかどうかは会社の自由です。

勤続年数に加算するかどうか、労使間でトラブルが生じないように、就業規則、退職金規程、育児介護休業規程等で取扱いを定めます。

様々な就業規則を見ていると、稀に、退職金規程では育児休業期間は「勤続年数に含めない」と規定しているにもかかわらず、育児介護休業規程では「勤続年数に含める」と規定して、矛盾しているケースがあります。一致していることを確認してください。