年次有給休暇の付与日を年2回に

年次有給休暇の付与日を年2回に

年次有給休暇を付与する基準日を、1年に2回設ける方法があると聞きましたが、どのような方法でしょうか?

例えば、4月1日と10月1日など、1年に2回年次有給休暇を付与する基準日を定めるというものです。

労働基準法(第39条)によって、年次有給休暇は勤続年数に応じて、次の日数の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。

勤続年数付与日数
0.5年10日
1.5年11日
2.5年12日
3.5年14日
4.5年16日
5.5年18日
6.5年20日

労働基準法では、入社日を基準にして、年次有給休暇を付与することが定められています。例えば、2024年4月1日に入社した従業員については、2024年10月1日(勤続0.5年)に10日付与、2025年10月1日(勤続1.5年)に11日付与することになります。

また、2024年5月16日に入社した従業員については、2024年11月16日(勤続0.5年)に10日付与、2025年11月16日(勤続1.5年)に11日付与することになります。

入社日を基準にして年次有給休暇を付与していると、従業員ごとに入社日が異なりますので、年次有給休暇の付与日及び時効によって権利が消滅する日(付与日から2年後)も、従業員ごとに異なります。

付与日(入社日)の都度、年次有給休暇のデータを更新する必要があって、消化日数や残日数の管理が複雑になります。

また、労働基準法が改正されて、1年に5日以上の年次有給休暇を付与することが義務付けられましたので、従業員ごとに異なる1年間で区切って、その年度内にクリアしていることを確認する必要があります。

以前は管理が複雑というだけでしたが、現在は管理が疎かになると、労働基準法に違反する可能性が生じます。

これを解消するために、年次有給休暇を付与する基準日を設ければ、年次有給休暇の管理が楽になります。

例えば、4月1日を基準日とすると、毎年4月1日に、全ての従業員に年次有給休暇を付与します。年次有給休暇の権利が時効で消滅する日も、その2年後の4月1日で全員同時になります。また、1月に取得日数が足りない従業員がいれば、一斉に取得を促すことができます。

ただし、基準日を設ける場合の会社のデメリットとして、年次有給休暇は前倒しで付与しないといけません。

労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですので、その基準を下回る取扱いは許されません。上回る取扱いは可能です。

それぞれの従業員の入社日を基準にして、0.5年、1.5年、2.5年、…、勤務した時点で定められた日数の年次有給休暇を付与している必要があります。後倒しで付与すると、これをクリアできませんので、前倒しで付与しないといけません。

例えば、2025年4月1日に、勤続1.5年とみなして、11日の年次有給休暇を付与する従業員は、2023年10月1日から2024年9月30日の間に入社した者が該当します。したがって、最大1年弱前倒しで付与することになります。

この前倒しで付与する期間を短縮するために、基準日を1年に2回設ける方法があります。

例えば、4月1日の他に10月1日を基準日として設けると、例えば、2025年4月1日に、勤続1.5年とみなして、11日の年次有給休暇を付与する従業員は、2023年10月1日から2024年3月31日の間に入社した者が該当します。

2024年4月1日から2024年9月30日の間に入社した者については、2025年10月1日に、勤続1.5年とみなして、11日の年次有給休暇を付与することになります。

基準日を1年に2回設けることによって、前倒しで与える期間を1年弱から半年弱に短縮できます。

1年に2回の基準日を設定すると、半年ごとに2グループに分けますので、1年に1回の基準日を設定した場合と比べると、管理が複雑になりますので、管理が楽になるというメリットが失われます。

基準日を1年に2回設けるのであれば、手間が余り減らないと思いますので、労働基準法どおり、入社日を基準にしたり、毎月1日を基準日にしたりする方法が良いように思います。