年次有給休暇の年2回の基準日

年次有給休暇の年2回の基準日

年次有給休暇を付与する基準日を、年に2回設ける方法があると聞いたのですが、どのような方法なのでしょうか?

例えば、4月1日と10月1日など、年に2回の基準日を設けるという方法です。

まず、労働基準法では、入社日を基準にして、

を付与することが定められています。

入社日を基準にしていると、それぞれの従業員ごとに入社日が異なりますので、年次有給休暇の付与日、消化日数、残日数の管理が複雑になります。

これを解消するために、年次有給休暇を付与する基準日を設ければ、年次有給休暇の管理が楽になります。

例えば、4月1日を基準日とすると、4月1日に全ての従業員に対して年次有給休暇を付与します。年次有給休暇が時効で消滅する日も、この2年後の4月1日で全員一緒になります。

しかし、基準日を設ける場合の会社のデメリットとして、年次有給休暇は前倒しで付与しないといけません。

労働基準法で定められている内容は最低基準ですので、それぞれの従業員の入社日を基準にして、0.5年、1.5年、2.5年、...、勤務した時点で定められた日数分の年次有給休暇を付与している必要があります。

遅らせて後倒しで付与すると、これをクリアできませんので、年次有給休暇は前倒しで付与しないといけません。

例えば、4月1日に、勤続1.5年になる従業員も、勤続7ヶ月になる従業員も、勤続1.5年とみなして11日分の年次有給休暇を付与します。そのため、タイミングによっては1年弱前倒しで付与することになります。

この前倒しで付与する期間を短縮するために、基準日を年に2回設ける方法があります。

例えば、4月1日の他に10月1日を基準日として設けると、上で4月1日に勤続7ヶ月になる従業員については、4月1日の基準日は適用しないで10月1日の基準日を適用します。

そうすると、10月1日に勤続1年1ヶ月になりますので、この時点で勤続1.5年とみなして11日分の年次有給休暇を付与します。これにより、前倒しで与える期間を1年弱から半年弱に短縮できるようになります。

しかし、年に2回の基準日を設定すると、この従業員の基準日は4月1日で、この従業員の基準日は10月1日と、基準日を年1回にした場合と比べると複雑になりますので、管理が楽になるというメリットが失われます。

基準日を年に2回設けるのであれば、手間が余り減らないように思いますので、個人的には、入社日を基準にしたり、毎月1日を基準日にしたりする方法が良いように思います。