介護休業の期間が短い理由

介護休業の期間が短い理由

介護休業の期間は合計93日と定められていますが、短くないでしょうか?

育児介護休業法では、従業員が付き切りで家族を介護することは想定していません。介護休業の期間は、介護の方針を決定するための期間と考えられていますので、そのような期間(日数)になっています。

育児介護休業法によって、育児休業及び介護休業は、次のように定義されています。

育児休業は、子を養育するために、原則として、子が1歳になるまで取得できます。その間は、通常は従業員が子に付き切りで育児を行います。

介護休業は、要介護状態の対象家族を介護するために、93日を上限として、3回に分割して取得できます。

しかし、従業員が家族を介護するために休業を取得しようとしても、普通は93日では足りません。介護に要した期間は平均すると約5年という調査結果があります。

介護休業は育児休業と違って、従業員が家族に付き切りで介護をすることは想定していません。

介護に要した期間は平均で約5年としても、個人差が大きくて、将来の予測をすることは困難です。家族を介護するために介護休業を取得すると、結果的に介護離職に至るケースがあります。

介護休業は、仕事と介護を両立するために、介護に関して必要な手続きをする期間として取得するものです。

つまり、家族が要介護状態になったときに、要介護認定を受けたり、介護サービスを選んだり、どのように介護していくのか、ケアマネジャーや兄弟姉妹等と相談をして、長期的な方針を決定するための期間ということです。

介護の方針を決定して、介護サービスを受けるまでの間は、従業員が家族を介護するとしても、それは緊急的・臨時的な措置と考えられています。家族の介護は従業員が行うことではなく、在宅サービスや施設サービス等の介護保険制度を活用して行います。

介護の方針を決定した後は、必要に応じて、所定外労働の制限、時間外労働の制限、短時間勤務、介護休暇等の制度を利用しながら、従業員は仕事と介護の両立を図ることになります。

介護休業は、家族を介護するために取得するものと思っている従業員が多いです。介護休業は、介護保険制度を利用するための準備期間であると周知しておけば、その間にすることが明確になって、介護離職を避けられるのではないでしょうか。

なお、介護休業は3回に分割して取得することが可能で(通算して93日が上限)、介護の始期と終期、その間で取得することが想定されています。