要介護状態の証明書の提出要求
要介護状態の証明書の提出要求
従業員が介護休暇を取得したいと申し出たときは、会社は証明書の提出を求めても良いでしょうか?
要介護状態であることを確認するために、従業員に証明書の提出を求めることは可能です。
介護休暇については、育児介護休業法(第16条の5)によって、次のように規定されています。
「要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という。)を取得することができる。」
要介護状態の対象家族を介護している従業員が、その世話をするために申し出たときは、介護休暇を取得できます。“要介護状態”と“対象家族”がポイントで、介護休暇を取得できる条件になります。
“要介護状態”は、介護保険法で定められている“要介護認定”とは少し基準が異なります。要介護2以上であれば要介護状態と認められますが、要介護1でも要介護状態と認められる場合があります。
“対象家族”は、従業員の配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が該当します。
また、介護休暇の申出方法に関して、育児介護休業法の施行規則によって、次のように規定されています。
「1 法第16条の5第1項の規定による申出は、次に掲げる事項を、事業主に対して明らかにすることによって、行わなければならない。
- 介護休暇申出をする労働者の氏名
- 介護休暇申出に係る対象家族の氏名及び前号の労働者との続柄
- 介護休暇を取得する年月日
- 介護休暇申出に係る対象家族が要介護状態にある事実
2 事業主は、介護休暇申出があったときは、当該介護休暇申出をした労働者に対して、前項第2号及び第4号に掲げる事実を証明することができる書類の提出を求めることができる。」
従業員が介護休暇を申し出るときは、会社に対して4項目を明示することになっていて、会社はその内、対象家族と従業員の続柄、要介護状態であることを証明する書類の提出を求めることができます。
ただし、実際に要介護状態である場合は介護休暇を取得できますので、事前に証明書を提出しないことを理由にして、介護休暇の申出を拒否することはできません。事後の提出も認めるべきです。
また、証明する書類は、従業員が提出できる書類で対応するべきとされていますので、「要介護認定の通知書」や「医師の診断書」等に限定することはできません。介護休暇を取得した日を無給としている会社では、従業員が偽って利用することは考えにくいと思います。
介護休暇を取得する場合について、説明してきましたが、介護休業を取得する場合や所定外労働を制限する場合も考え方は同じです。