要介護状態の証明書の提出

要介護状態の証明書の提出

従業員が介護休業や介護休暇の取得を申し出たときは、会社は要介護状態を確認できる証明書を提出させられますか?

要介護状態であることを確認するために、従業員にその事実を証明する書類の提出を求めることができます。

育児介護休業法(第11条)によって、「労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。」と規定されています。また、介護休業とは、「要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業」と定義されていて、要介護状態とは、「2週間以上の期間にわたって、常時介護を必要とする状態」と定められています。

介護休暇については、育児介護休業法(第16条の5)によって、次のように規定されています。

要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という。)を取得することができる。

要介護状態の対象家族の介護・世話をするために、従業員は、介護休業及び介護休暇を取得できます。“要介護状態”と“対象家族”がポイントで、取得できる条件として定められています。

対象家族は、従業員の配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が該当します。要介護状態は、介護保険法で定められている要介護状態区分とは少し基準が異なります。

「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」で示されているとおり、要介護2以上であれば要介護状態と認められますが、要介護1でも要介護状態と認められる場合があります。

また、介護休業の申出方法について、育児介護休業法の施行規則によって、次の事項を明らかにして会社に申し出ることが定められています。

  1. 介護休業を申し出た年月日
  2. 従業員の氏名
  3. 対象家族の氏名及び従業員との続柄
  4. 対象家族が要介護状態にある事実
  5. 介護休業期間の初日及び末日
  6. 対象家族についての取得済みの介護休業日数

これに対して、会社は、介護休業を申し出た従業員に対して、3.及び4.の事実を証明する書類の提出を求められることが定められています。

同様に、介護休暇の申出方法について、育児介護休業法の施行規則によって、次の事項を明らかにして会社に申し出ることが定められています。

  1. 従業員の氏名
  2. 対象家族の氏名及び従業員との続柄
  3. 介護休暇を取得する年月日
  4. 対象家族が要介護状態にある事実

同様に、会社は、介護休暇を申し出た従業員に対して、2.及び4.の事実を証明する書類の提出を求められることが定められています。

以上のとおり、従業員が介護休業や介護休暇の取得を会社に申し出るときは、一定の事項を明らかにすることがルールになっていて、会社は、対象家族と従業員の続柄、要介護状態にある事実を証明する書類の提出を求めることができます。

ただし、実際に要介護状態である場合は、従業員は介護休業や介護休暇を取得できますので、事前に証明書を提出しないことを理由にして、会社は取得の申出を拒否することはできません。事後の提出も認めるべきです。

また、証明書は、従業員が提出できる書類で対応するべきとされていますので、会社が「要介護認定結果通知書」や「医師の診断書」等に限定することはできません。

本人に「要介護状態にある事実を証明できる書類を提出してください」と伝えて、提出できる書類で処理をすることが望ましいです。他には、「介護保険被保険者証」、「要介護者の状態等申出書」、「ケアプラン」、「介護サービスの利用状況がわかる書類」等が考えられます。

介護休暇を取得した日、介護休業を取得した期間を無給としている会社においては、従業員が偽って利用することは考えにくいと思います。

介護休業や介護休暇の取得を申し出た場合で説明しましたが、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定外労働の制限、介護短時間勤務の制度の利用を申し出た場合も同じです。


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。