介護休業期間の社会保険料の控除

介護休業期間の社会保険料の控除

介護休業を予定している従業員がいます。介護休業の期間は無給としますが、賃金が社会保険料に足りなくて控除できない場合は、どうすれば良いでしょうか?

特に決まりはありませんが、毎月、従業員に社会保険料の相当額を会社に振り込んでもらう方法が良いと思います。

通常は、毎月支払う賃金から、従業員負担分の厚生年金保険、健康保険、雇用保険の保険料を控除して、会社負担分の保険料と合わせて納付していると思います。

雇用保険については、賃金額に雇用保険料率を掛けた額が保険料になりますので、賃金額がゼロの月は、雇用保険の保険料もゼロになります。

しかし、社会保険(厚生年金保険と健康保険)については、4月5月6月の賃金に応じて、その年の9月から翌年の8月までの社会保険料が原則として一定額で決定されます。

そして、育児休業を取得する期間は、手続きをすれば、従業員負担分・会社負担分ともに社会保険料が免除されます。

しかし、介護休業を取得する期間については、社会保険料の免除制度がありませんので、介護休業を取得して、賃金額がゼロの月であっても、社会保険料を納付する必要があります。

賃金から社会保険料を控除できない場合の会社の対応としては、次の3通りの方法が考えられます。

  1. 会社が社会保険料に相当する額を賃金として支給して、それを社会保険料に充当する
  2. 会社が社会保険料を立て替えて、従業員が職場に復帰したときに返済してもらう
  3. 毎月、従業員に社会保険料の相当額を会社に振り込んでもらう

「1.会社が社会保険料に相当する額を賃金として支給して、それを社会保険料に充当する」方法は、その賃金額に対して、雇用保険の保険料が掛かります。賃金と社会保険料を相殺するのであれば、雇用保険の保険料も考慮して、賃金額を設定する必要があります。

「2.会社が社会保険料を立て替えて、従業員が職場に復帰したときに返済してもらう」方法は、1ヶ月や2ヶ月で職場に復帰する場合は、その後に支払う賃金から控除して返済を求めやすいです。

しかし、立て替える期間が長期間になると、一括で返済を求めることが難しくなります。社会保険(厚生年金保険と健康保険)の保険料の本人負担分は、1ヶ月につき標準報酬月額の約15%です。3ヶ月になると、約45%になります。

また、職場に復帰しないまま退職するケースがあって、その場合は特に問題が生じやすいです。退職した後に、会社から本人負担分の社会保険料をさかのぼって返済するよう求めても、応じてもらえないケースが少なくありません。

休業期間が3ヶ月以上になることが見込まれる場合は、「3.従業員に社会保険料の相当額を会社に振り込んでもらう」方法が良いと思います。

介護休業と同様に、賃金から社会保険料を控除できないケースとして、従業員が私傷病によって長期間休業する場合があります。傷病手当金を受給している場合も、この方法が望ましいと思います。

また、源泉所得税については、無給の月はゼロになりますので、賃金から控除する必要はありません。しかし、住民税については、前年の所得に応じて掛かりますので、無給の月であって納付する必要があります。

特に決まりはありませんので、本人と話し合った上で、会社が賃金から控除して納付する特別徴収から、自分で納付する普通徴収に切り替える方法が良いと思います。