介護短時間勤務の利用とパートタイマーへの変更
介護短時間勤務の利用とパートタイマーへの変更
家族を介護している従業員が、1日の所定労働時間を6時間に短縮したいと言ってきました。正社員のまま勤務することは難しいので、パートタイマーに変更しても良いでしょうか?
雇用形態を変更する場合は、本人の同意が必要です。会社が一方的に、パートタイマーに変更することはできません。
育児介護休業法によって、家族を介護している従業員は、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置を利用できることが定められています。
従業員がこれらの制度の利用を申し出たこと、又はこれらの制度を利用したことを理由として、解雇等の不利益な取扱いをすることが禁止されています。正社員からパートタイマーに変更することは、不利益な取扱いに該当します。
また、正社員やパートタイマーといった雇用形態は重要な労働条件の1つです。労働条件(労働契約の内容)を変更する場合は、労働契約法(第8条)によって、労使間で合意をする必要があります。
会社が変更しようとする場合は、本人から同意が得られなければ、パートタイマーに変更することはできません。その場合は、正社員のまま短時間勤務制度を利用することになります。
したがって、会社において、正社員からパートタイマーに変更することによって、本人にどのようなメリット・デメリットがあるのか整理をして、本人と話し合うことが重要です。デメリットが大きい場合は、同意を得るために、不利益を緩和する措置を講じることも考えられます。
そして、要介護状態の家族を介護する従業員は、所定労働時間の短縮等の措置を講じることが義務付けられていますが、次のいずれかの措置とすることが定められています。
- 所定労働時間を短縮する制度(短時間勤務制度)
- フレックスタイム制
- 時差出勤の制度(始業時刻・終業時刻の繰上げ又は繰下げ)
- 介護サービスの費用の助成
介護休業とは別に、対象家族1人につき、連続3年以上の期間利用できる措置とする必要があります。また、2回に分割して利用できることになっています。
3歳未満の子を養育する従業員は、短時間勤務制度の措置を講じることが義務付けられていますが、介護に関しては義務ではありません。
「1.短時間勤務制度」を導入している会社が多いですが、「1.短時間勤務制度」の導入が難しい場合は、「2.フレックスタイム制」、「3.時差出勤の制度」、「4.介護サービスの費用の助成」も可能です。
どの措置を講じるかは、会社が就業規則(育児介護休業規程)で定めることになっています。