業務災害後の休日の取扱い(待期期間と休業補償)

業務災害後の休日の取扱い(待期期間と休業補償)

例えば、金曜日に業務災害(労災事故)が発生して、その翌日の土曜日と日曜日が休日だった場合、最初の3日間は、会社はどのように処理をすれば良いでしょうか?

その場合は、休日も3日間の待期期間の日数にカウントするのか、会社は休日に対して休業補償を行う(平均賃金の60%を支払う)必要があるのか、という2つの問題があります。

待期期間の日数の数え方

従業員が労災事故(業務災害)に遭って休業した場合は、4日目以降の休業日に対して労災保険の休業補償給付が支給されます。最初の3日間は労災保険の給付はなくて、会社が平均賃金の60%の休業補償を行うことが、労働基準法で義務付けられています

最初の3日間は待期期間と言って、暦日でカウントしますので、休日も待期期間の日数にカウントします。もし、所定労働日でカウントすると、週1日勤務の従業員については、休業補償給付が支給される機会がかなりの重大事故に限定されて、不公平な扱いを受けることになります。

また、労災事故が起きた時間帯によって、当日を3日間(待期期間)の日数にカウントするかどうか分かれます。

労災事故(業務災害)が、金曜日の所定労働時間内に発生した場合は、その当日はカウントします。このとき、会社が休業補償を行うのは、金・土・日の3日間となります。その次の4日目(月曜日)以降が、労災保険の休業補償給付の対象になります。

一方、労災事故(業務災害)が、金曜日の終業時刻後の所定労働時間外に発生した場合は、その当日はカウントしません。このとき、会社が休業補償を行うのは、土・日・月の3日間となります。その次の4日目(火曜日)以降が、労災保険の休業補償給付の対象になります。

休日に対する休業補償

次に、休日に対する休業補償の方法については、月給制の従業員と時間給制・日給制の従業員で対応が異なります。

月給制の従業員が休日に休んだとしても、会社は欠勤控除を行いません(できません)。これは出勤したものとして処理をしている(100%分の賃金を支払っている)ことになりますので、会社は休業補償をしていることになります。

したがって、休日については、会社は月給に加算して賃金(平均賃金の60%)を支払う必要はありません。仮に、月給に加算して賃金を支払うとすると、従業員は100%を超える賃金を受け取ることになって不都合が生じます。

一方、時間給制の従業員の賃金はゼロベースで、労働時間に応じて時間給を積み上げて計算します。そのため、何も処理をしないと、無給の取扱いとなって、会社は休業補償を怠っていることになります。

したがって、時間給制の場合は、土曜日と日曜日が休日だったとしても、会社は平均賃金の60%を支払って、休業補償を行わないといけません。日給制の従業員についても考え方は同じです。

月給制の従業員と時間給制の従業員の取扱いの違いは、年次有給休暇を取得した場合の取扱いの違いと同じです。