労災事故発生後3日間の休業補償
労災事故発生後3日間の休業補償
従業員が労災事故(業務災害)により休業をして、4日目以降は労災保険から休業補償給付が支給されるけれども、最初の3日間は会社が賃金を支払わないといけないと聞きました。どうすれば良いでしょうか?
労働基準法によって、会社は休業補償として、平均賃金の60%を支払うことが義務付けられています。
労働基準法(第76条)によって、次のように規定されています。
また、労働基準法(第84条)によって、次のように規定されています。
そして、労働者災害補償保険法(第14条)によって、次のように規定されています。
休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。
以上を整理すると、従業員が労災事故(業務災害)に遭って休業したときは、平均賃金の60%の休業補償を行うことが義務付けられていますが、労災保険からこれに相当する給付を受けられる場合は、会社の補償責任は免れることが規定されています。
そして、労災保険法によって、休業をして4日目以降は、給付基礎日額(平均賃金)の60%の休業補償給付が支給されることが定められています。
したがって、最初の3日間は、労災保険の休業補償給付がありませんので、労働基準法の規定に戻って、会社は平均賃金の60%の休業補償を行う必要があります。
平均賃金とは、「直近3ヶ月間の賃金総額」を「その暦日数」で割った額のことを言います。休業した日1日につき、この額の60%を支払うことが定められています。
なお、労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律ですので、それを上回る取扱いをすることは望ましいです。通常どおり勤務をしたものとみなして、満額の賃金を支払っている会社も少なくありません。
それが難しい場合は、平均賃金の60%の休業補償でも構いませんが、従業員にとっては、最初の3日間は賃金の40%が減額されることになります。
年次有給休暇を取得すると、その日については、労災保険の休業補償給付は支給されませんが、最初の3日間は年次有給休暇を取得しても不都合は生じません。
賃金の減額を嫌がって年次有給休暇の取得を希望する従業員が多いですが、会社が一方的に年次有給休暇を取得させることはできませんので、本人に事情を説明した上で、年次有給休暇を取得するかどうか確認してください。
なお、業務災害の場合は以上のとおりですが、通勤災害については、労働基準法の休業補償の対象外となっていますので、最初の3日間は無給でも構いません。