業務災害当日の休業補償

業務災害当日の休業補償

従業員が仕事中にケガをして早退したときは、当日の賃金の支払いはどうすれば良いでしょうか?

労働基準法及び労働基準法施行規則に基づいて、休業補償を行う必要があります。

労働基準法(第76条)によって、次のように規定されています。

「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。」

従業員が業務上の負傷や疾病による療養のために休業する場合は、会社は平均賃金の60%の休業補償を行うことが義務付けられています。その従業員の平均賃金が10,000円とすると、会社は休業1日につき6,000円を支払う必要があります。

ただし、休業して4日目以降は、無給の休業期間に対して、労災保険から休業補償給付(平均賃金の80%)が支給されます。これは会社が行う休業補償に代わって支給されるものですので、休業して4日目以降は、会社は休業補償を行う必要はありません。

したがって、負傷をした当日及び翌日から数えて3日間は、労働基準法の規定が適用されますので、会社が休業補償を行わないといけません。

そして、例えば、1日8時間の所定労働時間のうち、3時間勤務した後にケガをして早退したとすると、3時間分の賃金は当然支払う義務があります。早退した残りの5時間分の取扱いについては、労働基準法施行規則(第38条)によって、次のように規定されています。

「労働者が業務上負傷し又は疾病にかかったため、所定労働時間の一部分のみ労働した場合においては、使用者は、平均賃金と当該労働に対して支払われる賃金との差額の100分の60の額を休業補償として支払わなければならない。」

平均賃金が10,000円で、その日の実働時間に対する賃金が4,000円とすると、差額の6,000円の60%を休業補償として支払うことが義務付けられます。このケースでは、結果的に7,600円(4,000円+の6,000円×60%)を支払う必要があります。

なお、労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですので、実際には早退したけれども、通常どおり勤務したものとみなして満額の賃金を支払っても構いません。

そして、翌日に休業した場合は、平均賃金が10,000円とすると、会社は、その60%の6,000円を休業補償として支払う必要がありますが、本人が請求したときは年次有給休暇を取得することも可能です。