就業規則の変更届
就業規則の変更届
- 就業規則を変更したときは、労働基準監督署に届け出ていますか?
- 就業規則を変更したときは、労働基準法によって、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
【解説】
労働契約法(第7条)によって、次のように規定されています。
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」
要約すると、合理的な労働条件を記載している就業規則を従業員に周知している場合は、その内容が労働契約の内容になるということです。
したがって、会社が労働条件や取扱いを変更する場合は、就業規則の記載内容を変更する必要があります。もし、会社が変更を怠っていると、変更前の就業規則の適用を求められる恐れがあります。
また、会社が労働条件や取扱いを変更する意思がなくても、法律の改正に伴って、強制的に就業規則を変更せざるを得ないケースもあります。
例えば、就業規則の変更を伴う法改正としては、1年につき5日の年次有給休暇の取得が義務付けられたり、65歳までの継続雇用が義務付けられたり、育児介護休業法の改正等があったりしました。
そして、労働契約法(第10条)において、就業規則を変更する場合は、変更の必要性、変更内容の相当性などに照らして、合理的であることが求められています。
就業規則を従業員にとって不利益に変更する場合は慎重に検討して進める必要がありますが、法改正に伴って就業規則を変更する場合は、特別な事情がない限り、合理的であると認められます。
そして、労働基準法(第89条)によって、次のように、従業員数が10人以上の会社は就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(以下省略)」
就業規則を変更したときも同様に、労働基準監督署に届け出ないといけません。
労働基準法で義務付けられている手続きですので、会社が届出を怠っていると、不満を持っている従業員から「労働基準法に違反しているような就業規則は無効だ」と主張されるかもしれません。
なお、10人未満の会社であっても、一旦、就業規則を労働基準監督署に届け出た場合は、変更する都度、変更の届出をしないといけません。
変更の届出をしていないと、古いままの就業規則が労働基準監督署内の記録として残ります。もし、従業員が労働基準監督署に相談や申告をしに行ったとすると、その古い就業規則に基づいて応対されることになります。
10人未満の会社については、労働基準監督署に届け出ていなくても、合理的な内容を定めて、従業員に周知していれば、その就業規則は合法で有効です。
最初にお伝えしたとおり、労働契約法(第7条)によって、労働契約の内容とすることができます。
従業員数が2〜3人の段階で労働基準監督署に就業規則を届け出ると、後が手間です(無駄な作業が増えます)ので、10人に達しそうな段階で届け出るのが効率的と思います。
もっと詳しく
- 就業規則変更届のダウンロード
- 新旧対照表による就業規則の変更届
- 労働基準法 第89条<就業規則の作成と届出>【なるほど労働基準法】
- 労働契約法 第7条<労働契約の内容と就業規則の関係>【なるほど労働基準法】
- 労働契約法 第10条<就業規則による労働契約の内容の変更の例外>【なるほど労働基準法】
- 労働契約法 第11条<就業規則の変更手続>【なるほど労働基準法】
- 就業規則の不利益変更【労務管理の知恵袋】
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