賞与の支払い回数が年4回以上

賞与の支払い回数が年4回以上

賞与を1年に4回以上支払うと、何か不都合なことがあるのでしょうか?

1年に4回以上賞与を支払うことを就業規則等で定めた場合は、社会保険(健康保険と厚生年金保険)に関して、通常とは異なる取扱いになります。

健康保険法によって、「この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。」と定義されています。

労働の対償として、“3月を超える期間ごとに受けるもの”という労働基準法にはない条件が定められています。厚生年金保険法でも同様に定められています。

社会保険(厚生年金保険と健康保険)においては、賞与の支給額に応じて社会保険料が発生しますので、定義が具体的に定められています。また、会社が賞与を支払ったときは、賞与支払届を提出することになっています。

3ヶ月以内の期間ごとに支払っているものは、賞与の名目で支払っているとしても、健康保険法上は“賞与”に該当しないで、“報酬”と位置付けられます。

3ヶ月以内の期間ごとに支払っているものとは、1年間に4回以上支払っているものと言い換えることができます。

ただし、その年に限って賞与を分割して支払ったり、その年に限って追加で支払ったりして、例外的にその年だけ4回以上になった場合は、そのまま“賞与”として取り扱います。

賞与については、就業規則や賃金規程、雇用契約書等で、半期に1回(年2回)支払うことを規定している会社が多いです。これに決算賞与が加わって、年3回支払っている会社もあります。

このように就業規則等で、賞与の支払回数を年3回以内としている場合は、それが会社のルール・基準となります。この場合は、そのまま賞与として取り扱います。

一方、就業規則や賃金規程等で、1年に4回以上賞与を支払うことを定めている場合は、それが会社のルール・基準となります。また、実際に年4回以上支払っている場合は、“賞与”ではなく、“報酬”として取り扱うことになります。

そして、“賞与”としていたものが“報酬”と位置付けられることによって、通常の賞与とは取扱いが違ってきます。

標準報酬月額を決定するために、毎年7月に算定基礎届を作成して、提出していると思います。通常は、その年の4月5月6月に実際に支払った賃金額を記載して算定基礎届を作成します。

賞与を年4回以上支払った場合は、通常の賃金と同様に“報酬”として、標準報酬月額を算定する対象になります。具体的には、7月1日からさかのぼった1年の間に支払った賞与の総額を、12(月)で割った金額を各月の賃金額に加算します。

この場合は、賞与に対する社会保険料は毎月納付することになりますので、次の年度以降に賞与を支払うときは、賞与に対する社会保険料は発生しません。社会保険料を二重に支払ったり、社会保険料の納付が免除されたりすることはありません。

年4回以上賞与を支払うことを決定した場合は、次の算定基礎届の標準報酬月額が適用されるまでの間は賞与として取り扱います。