所定労働時間の変更と随時改定(月額変更届)
所定労働時間の変更と随時改定(月額変更届)
パートタイマーの時間給はそのままで、勤務時間を変更したときは、社会保険の随時改定(月額変更届)の対象になりますか?
時間給の単価に変動がなくても、所定労働時間を変更したときは、随時改定(月額変更届)の対象になります。
社会保険(健康保険と厚生年金保険)については、個々の従業員の標準報酬月額に基づいて、社会保険料(健康保険と厚生年金保険の保険料)が決定されます。
そして、固定的賃金の変動があって、標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、随時改定の対象となり、月額変更届を事務センター(又は年金事務所)に提出することになっています。
これに該当する場合は、固定的賃金を変動した月を1ヶ月目として、4ヶ月目から標準報酬月額(社会保険料)が改定されます。
「固定的賃金が変動した月から3ヶ月の間に支給した報酬(残業手当や通勤手当等も含みます)の平均月額に対応する標準報酬月額」と「現在の標準報酬月額」を比較して、2等級以上の差が生じた場合が対象になります。
ただし、その3ヶ月の間に、賃金の支払基礎日数が16日以下(特定適用事業所の場合は10日以下)の月がある場合は、随時改定は対象外になります。月額変更届を提出する必要はありません。
支払基礎日数は、賃金の決定方法(時間給、日給、月給)によって数え方が異なります。
- 時間給制の者及び日給制の者については、「支払基礎日数=出勤日数」
- 月給制の者については、「支払基礎日数=暦日数」
で数えて、3ヶ月とも17日以上(特定適用事業所の場合は11日以上)であることが、随時改定(月額変更届)の条件になっています。暦日数を数える場合は、17日未満になることはありません。
そして、固定的賃金の変動があった場合として、通常は、次のようなケースが考えられます。
- 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
- 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
- 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
- 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
- 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更
パートタイマーやアルバイトの時間給はそのままで、所定労働時間を変更したときは、契約内容を見直したものとして、固定的賃金の変動があったとみなされます。
日本年金機構が作成、公表している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に、随時改定の対象となることが示されています。
例えば、時間給は1,200円で据え置いたまま、1週間の所定労働時間を32時間から36時間に契約内容を変更して、標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、随時改定の対象になります。
ただし、契約内容(従業員と個別に約束した内容)は変更しないで、たまたまシフトを多く又は少なく入れた月が重なって、標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合は、随時改定の対象にはなりません。
契約内容を変更したかどうかが重要ですので、所定労働時間を変更する場合は、書面(雇用契約書等)を交付することが望ましいです。また、所定労働時間を変更すると、賃金の支給額に直結します。労働条件の変更に当たりますので、本人から同意を得る必要があります。