残業手当と月額変更届

残業手当と月額変更届

3ヶ月前から残業時間の削減に取り組んで、個々の従業員の残業手当がかなり減ったのですが、この場合は、社会保険の月額変更の対象にはならないのでしょうか?

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の月額変更(「随時改定」と言う場合もあります)は、固定的な賃金に変動があることが条件になっています。残業手当は固定的な賃金ではありませんので、月額変更の対象にはなりません。したがいまして、月額変更届の提出は不要です。

社会保険(健康保険と厚生年金保険)では、固定的な賃金に変動があった月以後の3ヶ月間の賃金(残業手当等も含みます)を平均して、その平均月額を標準報酬月額の等級区分に当てはめて、その標準報酬月額と現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差がある場合は、年金事務所又は事務センターに月額変更届を提出することになっています。

これにより、変動があった月から数えて4ヶ月後の月分から、標準報酬月額(社会保険料)が改定されます。

このときの「固定的な賃金」とは、基本給や(会社によって支給の有無や名称は違いますが)職務手当、資格手当、通勤手当等のように、毎月一定の金額で支払っている賃金(手当)のことを言います。

残業手当(割増賃金や時間外勤務手当など)は、通常は月によって変動するものですので、残業手当が2等級以上変動したとしても、基本給等の固定的な賃金に変動がなければ、月額変更の対象にはなりません。

なお、固定的な賃金が上がって、(残業手当が大幅に減る等して)標準報酬月額の等級が下がる場合は、月額変更の対象にはなりません。固定的な賃金が下がって、標準報酬月額の等級も下がる場合に対象となります。

その反対も同じで、固定的な賃金が下がって、(残業手当が大幅に増える等して)標準報酬月額の等級が上がる場合は、月額変更の対象にはなりません。固定的な賃金が上がって、標準報酬月額の等級も上がる場合に対象となります。