雇用契約書の押印・署名
雇用契約書の押印・署名
従業員を採用するときは雇用契約書を作成して、本人と締結していますが、従業員の押印は必要でしょうか?署名だけでは問題がありますか?
雇用契約書を締結する際に、従業員が印鑑(印章)を持っていない場合は、署名だけでも構いません。法律的に有効です。
労働基準法(第15条)によって、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。
また、労働基準法施行規則によって、労働契約の期間、就業場所、業務内容、労働時間、休憩時間、休日、休暇、賃金、退職、解雇に関する事項については、書面を交付して明示することが義務付けられています。
労働条件について、労使間で「言った」「言わない」のトラブルを防止するために設けられた規定です。正社員、パートタイマー、アルバイト、契約社員等の雇用形態に関係なく、全ての者が対象になります。
書面の交付は、労働条件通知書として、会社から一方的に交付する方法でも構いません。しかし、後になって本人から、「労働条件通知書はもらっていない」、「納得していた訳ではない」と言われる可能性があります。
そのようなトラブルを防止するために、雇用契約書として、会社と本人が合意した記録を残す方法が良いと思います。本人が雇用契約書に押印や署名をしていれば、その内容で同意していたことを示す証拠になります。
そして、通常は、会社から雇用契約書と一緒に就業規則を示しながら、従業員に労働条件の説明をして、最後にその場で本人から署名と押印をもらいます。
そのときに、従業員が印鑑(印章)を持っていない場合は、署名だけでも構いません。法律上は、署名であっても、押印であっても、どちらも契約書として有効で、本人が同意したという証拠になります。
当然、虚偽は認められませんが、本人がしたものであれば、次のどの方法でも法律的な効力は同じです。
- 署名+押印
- 署名のみ
- 記名+押印
署名があれば、押印のないことが原因で、雇用契約書が無効になることはありません。押印をするために、雇用契約書を一旦持ち帰って、後でなかなか提出しないというリスクを考えると、その場で署名をもらって手続きを完了させた方が良いと思います。
また、雇用契約書については、2部作成する、又は、1部作成して締結後にコピーする、のどちらかの方法により、双方で保管します。
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