無期雇用から有期雇用への切替え

無期雇用から有期雇用への切替え

これまで期間を定めないでパートタイマーを雇用してきましたが、期間を定めた雇用に切り替えたいと考えています。可能でしょうか?

在籍しているパートタイマーの契約期間を切り替えることは、同意した者については、労働契約法上は可能ですが、そのような変更はするべきではないと思います。

労働契約の期間は重要な労働条件の1つです。労働契約法(第8条)によって、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」と規定されています。

労働条件を変更する場合は、従業員と会社が合意して行うこととされています。したがって、会社が労働条件を変更しようとする場合は、本人から同意を得る必要があります。

無期雇用から有期雇用に変更するということは、パートタイマーにとっては大きな不利益です。

もし、会社から「期間を定めないで雇用したけれども、期間を定めた雇用に変更したい」と要請すると、パートタイマーは「契約期間の満了で雇止めをするつもりか?」と会社に対して不信感を持つでしょう。

有期雇用に切り替える必要性があることを、パートタイマーに説明することが欠かせませんが、賃金アップ等のメリットがなければ、どのような理由であっても理解を得ることは難しいと思います。

そして、会社から丁寧に説明をして、同意が得られたパートタイマーについては、雇用契約書を締結し直して、無期雇用から有期雇用に変更できます。

しかし、同意が得られなかったパートタイマーについては、会社が一方的に有期雇用に変更することはできません。

会社の要請に応じたパートタイマーと応じなかったパートタイマーがいると、パートタイマー同士や会社と応じなかったパートタイマーの間で不和が生じる恐れがあります。

その後、会社の要請に応じたパートタイマーを雇止めして、会社の要請に応じなかったパートタイマーの雇用を継続する方法は賢明ではないと思います。

強引に進めて信頼関係が壊れるリスクを考えると、会社が得られるメリットは小さいと思いますので、そのような変更は求めるべきではないと思います。

差し迫った状況でなければ、既に在籍しているパートタイマーは諦めて、これから採用するパートタイマーを対象にして、期間を定めて雇用することにしてはいかがでしょうか。

最初から期間を定めた雇用契約を締結していれば、取扱いが不利益に変更されたと被害者意識を持たれることはありません。また、無期雇用のパートタイマーと有期雇用のパートタイマーの両方がいても、問題はありません。

なお、労働契約法(第18条)によって、有期労働契約を更新して5年が経過した者については、無期労働契約に転換できることが定められています。