雇用形態の変更と雇用契約書の作成

雇用形態の変更と雇用契約書の作成

本人と話し合って、雇用形態をパートタイマーから正社員に転換することになりました。新しく雇用契約書を作成して、本人に交付しないといけませんか?

新しく雇い入れる形になりますので、改めて雇用契約書や労働条件通知書を作成して、本人に労働条件を明示する必要があります。

労働基準法(第15条)によって、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。

労働契約を締結するときは、本人に賃金や労働時間等の労働条件を明示することが義務付けられています。また、労働基準法施行規則によって、一定の労働条件については、雇用契約書や労働条件通知書を作成して、書面で交付することが定められています。

労働契約を締結するときに(勤務を開始する前に)、会社と従業員が労働条件を相互に確認して、労使間の思い違いを防止することを目的とした規定です。

パートタイマーから正社員に転換するということは、パートタイマーとしての労働契約を解約して、新しく正社員として労働契約を締結するものと考えられます。

なお、雇用保険・社会保険(厚生年金保険と健康保険)の資格を継続する場合は、資格喪失及び資格取得の手続きは不要です。ただし、社会保険の月額変更届(随時改定)の対象になる場合があります。

また、パートタイマーや正社員といった雇用形態を変更するときは、適用する就業規則の内容が大幅に変わって、賃金(手当の種類や金額)、労働時間等の労働条件を変更するケースが一般的です。

そのため、会社と本人の間に思い違いが生じやすく、トラブルになりかねませんので、雇用契約書や労働条件通知書を作成して、改めて具体的な労働条件を明示することが、労務管理上、望ましいです。

また、労働契約法(第8条)によって、労働条件を変更する場合は、本人から同意を得ることが定められています。雇用契約書を作成して締結すれば、本人が同意したことを示す証拠になります。

正社員から嘱託従業員に変更したり、契約社員から正社員に変更したりする場合も同様に、雇用契約書や労働条件通知書を作成する必要があります。

なお、正社員のまま配置転換や転勤をする場合は、雇用契約を締結し直すものではありませんので、改めて雇用契約書や労働条件通知書を作成する必要はありません。