給与明細のデータ交付

給与明細のデータ交付

賃金の支払日に、従業員に紙の給与明細を配布していますが、メールで送信しても良いですか?

同意した従業員については、給与明細の内容をメール等のデータで送信する方法が認められています。

賃金を金融機関の口座に振り込んで支払う場合は、厚生労働省の通達によって、賃金の支払日に、個々の従業員に対して、次の金額を記載した賃金の支払に関する計算書(給与明細)を交付することが定められています。

  1. 基本給や手当の種類ごとにその金額
  2. 源泉徴収税や本人負担分の社会保険料など、賃金から控除した事項ごとにその金額
  3. 口座に振り込んだ金額

また、所得税法(第231条)によって、会社が給与を支払うときは、給与の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を従業員に交付することが義務付けられています。上の事項を記載していれば、この規定を満たしていることになります。

従来は、給与明細を印刷して、書面で従業員に配布している会社が一般的でした。しかし、ペーパーレス化が進展したことから、法律が改正されて、データによる交付(電子交付)が認められるようになりました。

ただし、給与明細のデータによる交付は、所得税法によって、本人から承諾を得た場合に限ります。そのため、承諾しない従業員については、従来どおり書面で配布する必要があります。

また、承諾の方法について、従業員には事前に、交付する方法やデータの種類(PDFファイル等)等を示して、記録が残る方法(メールや書面)で本人から承諾を得ることが定められています。

なお、令和5年度以降は、承諾を得ようとする際に、会社から従業員に、「期限までに承諾の有無の回答がないときは、承諾があったものとみなします」という旨の通知をしていれば、そのように処理をすることが可能になりました。

ただし、一旦、承諾したとしても、従業員が請求したときは、書面で交付しないといけません。データによる交付に切り替えたとしても、書面による交付にも対応できるようにしておく必要があります。

給与明細をデータで交付できるようになれば、会社は封入や手渡し、郵送等の作業を省略できますし、ペーパーレス化によって経費を削減できます。その反面、給与明細は重要な個人情報ですので、誤送信やデータの漏えい等については、厳しく管理する必要があります。

また、メールを送信して交付する方法以外にも、インターネットやアプリを利用して閲覧する方法も認められています。