1年間の休日数の変動
1年間の休日数の変動
祝日と曜日の関係で、年によって休日の日数が変動しますが、問題はありませんか?
就業規則に従って休日を与えていれば、法律的な問題はありませんが、1年間の休日の日数は一定にする方法が望ましいです。
例えば、就業規則を作成して、休日について、次のように規定しているとします。
- 日曜日
- 土曜日
- 国民の祝日(国民の休日)
- 夏季休業(8月14日から16日まで)
- 年末年始休業(12月29日から1月3日まで)
祝日と日曜日が重なった場合は翌日に休日(振替休日)が新しく設定されますが、祝日と土曜日が重なった場合は、会社の休日が1日消滅することになります。
また、夏季休業・年末年始休業と土曜日・日曜日が重なる場合も、会社の休日が消滅します。
労働契約法(第7条)によって、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と規定されています。
つまり、就業規則で定めている労働条件は、労働契約の内容として成立することが示されています。
したがって、会社としては、就業規則の規定に従って休日を与えていれば、約束を守っている(契約を履行している)ことになりますので、契約上及び法律上の問題はありません。
時間給制で勤務をしている従業員については、労働時間に応じて賃金を支払いますので、1年間の休日数に変動があったとしても、会社・従業員共に損得は生じません。
しかし、月給制の従業員については、昇給がなかったと仮定して、1年間の休日数が減った(労働日数が増えた)とすると、賃金月額は同じですので、1時間当たりの賃金が減額することになります。その結果、割増賃金の1時間当たりの単価も引き下げられます。
これは賃金の引下げと同じです。例えば、1年間の所定労働日数が250日とすると、1日の変動は0.4%に相当します。
前年と比較して休日数が増える年(労働日数が減る年)もありますので、長い目で見て欲しいという説明で多くの従業員から納得が得られると思いますが、納得しない従業員がいるかもしれません。
法律的には問題がないとしても、予め1年間の休日数(労働日数)を決めて変動しない方法が望ましいと思います。
1年間の休日数(労働日数)を一定にすると、1ヶ月の平均所定労働時間が一定になりますので、割増賃金の単価の計算が楽になります。計算ミスも減らせます。
ところで、1年単位の変形労働時間制を採用している会社では、1年間を平均して1週間の所定労働時間が40時間以内になるように、例えば、1日の所定労働時間を8時間、1年間の所定労働日数を250日と定めた上で、毎年、年間カレンダーを作成していると思います。
1年単位の変形労働時間制を採用していない会社についても、1年間の休日数(労働日数)を決めて、新しい年度が始まる前に年間カレンダーを作成してはいかがでしょうか。
その場合は、臨機応変に休日を設定できるように、就業規則の休日の項目に「6.会社が指定する日」を追加すると良いでしょう。