法定労働時間と所定労働時間、法定休日と所定休日

法定労働時間と所定労働時間、法定休日と所定休日

終業時刻以降の労働時間に対して、125%の時間外勤務手当を支払わないといませんか?休日に出勤したときは、135%の休日勤務手当を支払わないといませんか?

労働基準法上は、1日8時間又は1週40時間を超えて労働した時間に対して、125%の時間外勤務手当を支払うことが義務付けられています。また、法定休日の労働時間に対して、135%の休日勤務手当を支払う必要があります。

法定労働時間と所定労働時間

労働基準法(第32条)によって、1週40時間を超えて労働させること、1日8時間を超えて労働させることが禁止されています。この1週40時間、1日8時間のことを「法定労働時間」と言います。

そして、労働基準法(第37条)によって、1週40時間又は1日8時間の法定労働時間を超えて労働させた時間に対して、125%の割増賃金(時間外勤務手当)を支払うことが義務付けられています。

一方、始業時刻、終業時刻、休憩時間は、会社によって様々で、(残業時間を含まない)定時の労働時間が1日8時間だったり、1日7.5時間だったりします。また、パートタイマーは1日6時間など、会社の中でも異なる場合があります。その会社(又は個人)の定時の労働時間のことを「所定労働時間」と言います。

そして、例えば、始業時刻が9時00分、終業時刻が17時30分、休憩時間が1時間とすると、所定労働時間は1日7.5時間になります。

残業をして、18時00分になると、労働時間(実働時間)は1日8時間を超えますので、労働基準法によって、18時00分以降の労働時間に対して、125%の割増賃金(時間外勤務手当)の支払いが義務付けられます。

17時30分から18時00分まで(所定労働時間を超えて法定労働時間内)の労働時間に対する賃金の取扱いについては、労働基準法では定められていません。労働基準法上は、100%で計算した賃金でも構いません。

具体的な取扱いは、それぞれの会社の就業規則(賃金規程)や雇用契約書(労働条件通知書)の記載によります。就業規則(賃金規程)を作成している会社では、通常は次のどちらかの内容で記載していると思います。

前者の場合は、法定労働時間内で所定労働時間を超えた労働時間については、100%で支払うことになります。後者の場合は、17時30分以降の労働時間に対して、125%の時間外勤務手当を支払うことになります。

また、厚生労働省が提供しているモデル労働条件通知書では、「所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率」を明示する欄が設けられていて、次の事項を記載することになっています。

イ 所定時間外法定超 月60時間以内:125%、月60時間超:150%
所定超:100%
ロ 休日法定休日:135%、法定外休日:100%
ハ 深夜深夜:25%

法律的に問題がない割増率で記載しましたが、これを上回る割増率で定めている会社もあります。就業規則と労働条件通知書(雇用契約書)の両方に記載があって、それぞれで異なっている場合は、従業員にとって有利な方(割増率が高い方)が適用されます。

法定休日と所定休日

休日についても同様に、「法定休日」と「法定外休日(所定休日)」という考え方があります。

労働基準法(第35条)によって、1週間に1日以上の休日を与えることが義務付けられています。これを「法定休日」と言います

また、労働基準法(第37条)によって、休日出勤をして1週間に1日も休日を与えなかった場合は、法定休日の労働時間に対して、135%の割増賃金(休日勤務手当)を支払うことが義務付けられています。

会社が定めた休日のことを「所定休日」と言います。例えば、土曜日と日曜日を所定休日としている会社で、土曜日に休日出勤をして、日曜日に休日を与えたときは、法定休日を確保していますので、労働基準法上は、135%の休日勤務手当を支払う義務はありません。

この場合の土曜日の労働時間に対する賃金の取扱いについては、労働基準法では定められていませんので、同様に、それぞれの会社の就業規則(賃金規程)や雇用契約書(労働条件通知書)の記載内容によります。

就業規則を作成している会社では、通常は次のどちらかの内容で記載していると思います。

前者の場合は、法定外休日(所定休日)の労働時間については、100%で支払うことになります。後者の場合は、全ての休日出勤に対して、135%の休日勤務手当を支払うことになります。

なお、両方の休日に出勤したときは、原則的には、日曜日から始まる1週間を単位として、後ろの休日が法定休日に当たります。また、就業規則で「日曜日を法定休日とする」と定めて、法定休日を特定する方法も可能です。

労働条件通知書(雇用契約書)の記載については、上と同じです。

イ 所定時間外法定超 月60時間以内:125%、月60時間超:150%
所定超:100%
ロ 休日法定休日:135%、法定外休日:100%
ハ 深夜深夜:25%

就業規則と労働条件通知書(雇用契約書)の両方に記載があって、それぞれで異なっている場合は、従業員にとって有利な方(割増率が高い方)が適用されます。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。