残業を拒否する従業員の対応

残業を拒否する従業員の対応

「残業はしたくない」と言って残業を拒否する従業員がいます。会社はどのように対応すれば良いでしょうか?

就業規則に、「時間外労働又は休日労働を命じることがある」というような規定があれば、これを根拠にして、会社は業務命令として、残業(時間外労働や休日労働)を強制できます。

就業規則に、「時間外労働又は休日労働を命じることがある」といった規定があれば、これを根拠にして、会社は業務命令として、残業(時間外労働や休日労働)を強制することができます。

就業規則は労働契約の一部ですので、従業員は就業規則に従う義務があります。従業員が就業規則の内容を知らないとしても、会社が就業規則を従業員に周知していれば、従業員は入社時に、会社の就業規則に同意したものとみなされます。

就業規則を作成していない会社、就業規則を作成していても、残業を命じることを定めた規定がない会社は、就業規則に基づいて、残業を強制することはできません。

その場合は、個別に定めた労働契約が根拠になります。労働基準法(第15条)によって、従業員を採用するときは、会社は雇用契約書や労働条件通知書を作成して、従業員に労働条件を明示することが義務付けられています。

明示する労働条件の1つとして、「所定労働時間を超える労働の有無」が定められています。雇用契約書等に、「有」と記載していれば、会社が所定労働時間を超える労働(残業)を命令できる根拠になります。

「無」と記載していれば、そのような条件で採用していますので、会社が所定労働時間を超える労働(残業)を命令することはできません。会社から「残業して欲しい」と依頼をすることは可能ですが、従業員は拒否できます。拒否したことを理由として、会社が不利益な取扱いをすることは許されません。

また、就業規則に残業を命令する根拠となる規定があったとしても、雇用契約書に所定労働時間を超える労働が「無」と記載している場合は、会社は残業を強制できません。その都度、本人の同意が必要になります。就業規則と雇用契約書の内容が異なる場合は、従業員にとって有利な方が優先して適用されます。

そして、会社が残業を強制できる状態で、従業員が残業命令を拒否した場合は、業務命令違反となります。違反した者は、就業規則に基づいて、懲戒処分(始末書の提出など)の対象になります。

ただし、体調不良や家族の介護など、残業ができない特別な事情がある場合は、その事情を考慮する必要があります。従業員が残業を拒否する場合は、その理由を確認してください。

また、経営の都合によって余剰人員を抱えることは難しくて、繁忙期は残業をして対応する必要がある等、特に若年層に対しては、丁寧に説明・教育をすることが重要です。

その都度、残業ができない理由と業務上の必要性を比較して、どちらを優先するべきか判断して、残業を命じられるかどうかが決まります。

ところで、労働基準法(第36条)によって、時間外労働や休日労働をする場合は、会社は従業員の過半数代表者と36協定を締結して、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

36協定を届け出ていない会社は、就業規則や雇用契約書に根拠となる規定があったとしても、時間外労働や休日労働をさせることはできません。労働基準法違反になります。


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。