月をまたぐ場合の割増賃金

月をまたぐ場合の割増賃金

賃金(残業手当)は1ヶ月ごとに労働時間(残業時間)を集計して支払っていますが、月をまたぐ週は、残業時間の計算はどうすれば良いでしょうか?残業手当はどちらの月に支払えば良いでしょうか?

割増賃金(残業手当)の支払いは、月をまたぐ週にも適用されます。毎月末日や賃金計算の締切日でリセットされることはありません。

1日8時間、又は、1週40時間を超えた労働時間に対して、割増賃金(時間外勤務手当)を支払うことが労働基準法で義務付けられています。

割増賃金の支払いは、月をまたぐ週にも適用されます。毎月末日や賃金計算の締切日でリセットされることはありません。

例えば、毎月末日を賃金計算の締切日としている会社で、6月の最終週の日曜日が27日だったとします。なお、就業規則で特に指定していない場合は、日曜日から始まる1週間を単位とします。

月日6月27日28日29日30日7月1日2日3日
曜日
所定労働時間0時間8時間8時間8時間8時間8時間0時間
実働時間0時間9時間9時間9時間9時間9時間9時間

この週の所定労働時間は40時間で、実働時間は54時間です。「6月は27時間、7月も27時間で、それぞれ40時間以内だから時間外労働の時間は発生しない」という考え方は間違いです。

1週40時間を超えた労働時間に対して、1.25倍の時間外勤務手当(割増賃金)を支払う必要がありますので、この週については、14時間が時間外勤務手当の支給対象になります。

その内訳は、6月分の時間外労働の時間は、各日ごとに見て8時間を超えた時間が対象になります。月・火・水の合計3時間の時間外勤務手当(割増賃金)は6月中に確定していますので、6月分の賃金に算入して支払うことになります。

残りの11時間分(木・金の1日8時間を超えた時間が2時間+土曜日の1週40時間を超えた時間が9時間)の時間外勤務手当(割増賃金)は7月分の賃金に算入して支払うことになります。

各日ごとに見て8時間を超えた時間外労働に対する時間外勤務手当は、その日に支払い義務が確定しますので、その月の賃金に算入して支払います。

また、1日の所定労働時間が7.5時間など、8時間未満の場合は、7.5時間超8時間以下の労働時間に対する賃金も、その月に算入して支払う必要があります。

1週40時間を超えた時間外労働に対する時間外勤務手当は、後ろの月の賃金に算入して支払うケースが多くなります。前月中に支払い済みの分は除いて計算しますので、それ以外の支払い義務が確定するのは後ろの月が始まった後になります。

休日勤務手当についても、休日労働をして支払い義務が確定した月の賃金に算入して支払います。

月日6月27日28日29日30日7月1日2日3日
曜日
所定労働時間0時間8時間8時間8時間8時間8時間0時間
実働時間8時間8時間8時間8時間8時間8時間8時間

就業規則で特に指定していない場合は、後ろの休日が法定休日に当たります。上の場合は、土曜日が法定休日になりますので、1.35倍の休日勤務手当は、7月分の賃金に算入して支払うことになります。

また、就業規則で、例えば、「法定休日は日曜日とする」など、法定休日を特定する方法が認められています。その場合は、日曜日が法定休日になりますので、休日勤務手当は6月分の賃金に算入して支払います。