退職後の出産手当金
退職後の出産手当金
女性従業員が「出産するので退職したい」と言ってきました。退職すると、健康保険の出産手当金は支給されないのでしょうか?
会社を退職するタイミング等によっては、退職後であっても、出産手当金を受給できる場合があります。
次の3つの条件を全て満たしている場合は、退職後も健康保険の出産手当金を受給できます。
- 1年以上健康保険に加入している
- 退職日が出産手当金の支給対象期間内に入っている
- 退職日に出勤していない
2.について、出産手当金は、出産日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から出産日の56日後までの期間を対象にして支給されます。なお、出産日当日は「出産日の42日前」にカウントします。
また、「出産日の42日前」は出産予定日が基準になりますので、実際の出産が予定日より遅れても構いません。出産予定日の42日前より後に退職していれば、2.の条件を満たしていることになります。
3.について、退職日の当日が出産手当金の支給対象になっている必要があります。出産手当金は会社を休んで賃金が支払われない場合に支給されます。
最後の挨拶をするために会社に出て来るケースがありますが、退職日に勤務をすると支給対象になりません。注意してください。
なお、退職後の出産手当金は、在籍中に加入していた健康保険(協会けんぽ)から支給されますので、退職後にどの医療保険制度に加入しているかは関係ありません。
ただし、退職後に出産手当金を受給して、その日額が3,612円以上の場合は、被扶養者認定の収入基準(年収130万円)を超えますので、受給している間は被扶養者になれません。
ところで、本人の退職の意思が強い場合は別ですが、退職しなければ、健康保険の出産手当金を受給した後も、雇用保険の育児休業給付を受給できます。
産前産後休業の期間と育児休業の期間については、手続きをすれば本人も会社も社会保険料が免除されますので、在籍し続けても負担が増えることはありません。
育児休業が終わった後に職場に復帰する意思があるのでしたら、退職しない方が制度を有効に活用できます。
同様に、傷病手当金についても、条件を満たしている場合は退職した後も受給できます。
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