出産育児一時金の直接支払制度・受取代理制度
出産育児一時金の直接支払制度・受取代理制度
従業員又はその被扶養者(扶養家族)が出産するときに、最近は、病院に出産費用を支払わなくても良いのでしょうか?
出産育児一時金の直接支払制度又は受取代理制度を利用すれば、窓口で高額の出産費用を支払わなくても構いません。
健康保険に加入している従業員が出産したときは、健康保険から1児につき50万円の出産育児一時金が支給されます。従業員の被扶養者(扶養家族)が出産した場合も同様に、出産育児一時金が支給されます。
以前は、従業員(扶養家族)が出産するときは、出産費用を医療機関に支払って、その1〜2ヶ月後に、出産費用に相当する額として、出産育児一時金が支給されていました。
この出産育児一時金額が、従業員(扶養家族)に代わって、直接医療機関に支払われる「直接支払制度」があります。医療機関に直接支払われることによって、出産費用と相殺されて、従業員(扶養家族)は高額の出産費用を用意する必要がなくなります。
直接支払制度を利用する場合は、出産する前に、従業員(扶養家族)が医療機関に対して、利用を申し出ることになっています。協会けんぽ(健康保険組合)への申請は不要です。
そして、出産費用が出産育児一時金の50万円を上回る場合は、差額の不足分を医療機関に支払います。出産費用が出産育児一時金の50万円を下回る場合は、従業員(扶養家族)が協会けんぽに差額の支給申請をすれば、差額が支給されます。
また、直接支払制度の対応が困難な小規模の医療機関では、「受取代理制度」という制度が代わりに用意されています。この場合は、事前に従業員(扶養家族)が協会けんぽに申請書を提出する必要があります。
直接支払制度は、従業員(扶養家族)に代わって、医療機関が協会けんぽに対して支給申請の手続きを行いますので、直接支払制度の方が手間は少ないです。直接支払制度を利用できるかどうかは、医療機関に確認してください。
従来どおり、出産費用を医療機関に支払って、その後、出産育児一時金を受給する方法も可能です。
また、退職日まで健康保険に1年以上加入していて、退職して6ヶ月以内に出産したときは、資格喪失後の給付として、協会けんぽから出産育児一時金が支給されます。直接支払制度の利用も可能ですが、「健康保険被保険者資格喪失等証明書」を医療機関に提示する必要があります。