1ヶ月平均所定労働時間数

1ヶ月平均所定労働時間数

  • 賃金を月給制で支払っている従業員について、割増賃金(残業手当)の基準となる通常の賃金を計算する際に、分母となる「1ヶ月平均所定労働時間数」は何時間で計算していますか?
  • 所定労働時間は1週間につき40時間以内とする必要がありますので、「1ヶ月平均所定労働時間数」は最大でも173.8時間になります。

【解説】

次のとおり、労働基準法(第37条)によって、従業員に時間外勤務(残業)をさせたときは、通常の賃金を基準にして、会社は25%の割増賃金(時間外勤務手当)を支払うことが義務付けられています。

「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。・・・」

賃金を時間給で支払っている従業員が時間外勤務(残業)をしたときは、時間給が基準になります。例えば、時間給が1,000円とすると、時間外勤務(残業)1時間につき、1,250円を支払うことになります。

時間給制の場合は簡単ですが、月給制の場合は少し複雑になります。例えば、月給が20万円の従業員が1時間の時間外勤務(残業)をしたときに、いくら支払えば良いかは直ぐには出てきません。

20万円の月給を一旦、時間給に換算する必要があります。そのため、労働基準法 施行規則によって、換算方法(計算方法)が次のように定められています。

「月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月平均所定労働時間数)で除した金額」

要するに、「賃金の月額」を「1ヶ月の所定労働時間数」で割って、時間給に換算(通常の賃金を算出)します。

各月の暦日の関係で、普通は月によって出勤日数が異なりますので、「1ヶ月の所定労働時間数」も月によって異なります。

この場合は、その月の所定労働時間数ではなく、1年間を平均した1ヶ月の所定労働時間数を算出することになっています。

具体的には、年間カレンダー等から1年間の所定労働時間数を合計して、12ヶ月で割って、「1ヶ月平均所定労働時間数」を算出します。

このときに、「1ヶ月平均所定労働時間数」を180時間や200時間で計算している会社があります。

所定労働時間は1週間につき40時間以内とする必要がありますので、「1ヶ月平均所定労働時間数」は、最大でも173.8時間(=40時間/7日×365日/12ヶ月)になります。

173.8時間で計算すれば良いということではなくて、実際の1年間の所定労働時間を合計して、2,016時間だったとすると、「1ヶ月平均所定労働時間数」は168時間(=2,016時間/12ヶ月)で計算する必要があります。

「1ヶ月平均所定労働時間数」を実際より大きくして計算すると、時間給に換算した金額が低額になりますので、割増賃金(時間外勤務手当)も本来支払うべき金額より低額になります。

つまり、賃金の未払いが発生し、違法になってしまいます。

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