振替休日の割増賃金・代休の割増賃金

振替休日の割増賃金・代休の割増賃金

  • 振替休日を与えた場合、代休を与えた場合、それぞれの賃金(割増賃金)の計算方法は適正ですか?
  • 振替休日と代休は法律的に異なるものですので、それぞれ区別をして、賃金(割増賃金)を計算する必要があります。

【解説】

振替休日(休日の振替)と代休を混同して、賃金を計算しているケースがあります。結果的に支払うべき賃金額が同じになることもありますが、様々なケースを想定すると、どのように処理をすれば良いのか混乱してしまいます。

振替休日と代休は法律的に異なるものですので、それぞれ区別をして、賃金を計算する必要があります。

まず、代休とは、休日出勤をして、その代償として労働日の勤務を免除することを言います。一方、休日の振替(振替休日)とは、休日と労働日を予め指定して振り替えることを言います。

この違いを理解すれば、賃金(割増賃金)の計算方法が理解しやすくなります。

代休を利用して出勤した日については、休日勤務となりますので、その日が法定休日の場合は、労働基準法によって、1.35倍の休日勤務手当を支払う必要があります。

仮に、1日の所定労働時間が8時間として、休日勤務を8時間行って、代休を1日与えたとすると、代休を与えた日は欠勤控除と同じ扱いになります。相殺をすると結果的に、8時間×0.35倍の賃金を支払うことになります。

もし、休日勤務を9時間行った場合は、8時間を超える1時間分は相殺できませんので、1時間分については、1.35倍で支払わないといけません。

また、休日勤務をした日が法定休日でないとしても、休日勤務によって1週40時間を超えた場合は、労働基準法によって、1.25倍の時間外勤務手当を支払う必要があります。同じ週内で代休を与えて、1週40時間を超えなければ、1.00倍の賃金で構いません。

代休を与えた場合は欠勤控除の処理をしますが、休日勤務をして、代休を与えないまま放置しているケースがあります。その場合は、単なる休日勤務として、1.35倍の休日勤務手当や1.25倍の時間外勤務手当を支払わないといけません。代休を与えていないにもかかわらず、1.00分を相殺していると賃金の未払い(労働基準法違反)になります。

次に、同じ週内で休日を振り替えた場合は、通常の勤務と変わりませんので、特別な処理は発生しません。

別の週にまたがって休日を振り替えて、1週40時間を超えた場合は、1.25倍の時間外勤務手当を支払う必要があります。ただし、その内、8時間は所定労働時間に当たりますので、1.00分の支払いは不要です。通常の賃金(月給が30万円だったら、その30万円)に含まれています。結果は同じですが、代休の場合の欠勤控除とは意味合いが異なります。

ところで、原則として、1週間に少なくとも1日は休日を与えることが労働基準法で義務付けられていて、これを法定休日と言います。

法定休日に休日勤務をすることは可能ですが、法定休日を振り替える(労働日とする)ことによって、1週間に1日も休日を確保しないことは許されません。したがって、原則的には、法定休日を振り替えることはできません。労働基準法違反になります。

しかし、労働基準法には例外として、4週間に4日以上の休日を与える方法も認められています。休日を振り替えて、1週間に1日も休日を確保できなくても、4週間に4日以上の休日を与えていれば適法になります。

ただし、4週4休制を採用する場合は、就業規則に起算日を定めるなど、就業規則の記載の仕方がポイントになります。適法に休日を振り替えた場合は、1.35倍の休日勤務手当の支払いが必要になるケースはありません。

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