36協定の「満18歳以上の者」の趣旨
36協定の「満18歳以上の者」の趣旨
36協定の様式を見ると、労働者数を記載する欄が「(満18歳以上の者)」となっていますが、18歳未満の者はカウントしなくても良いのでしょうか?
18歳未満の者については、労働基準法によって、時間外労働及び休日労働をさせることが禁止されていますので、36協定の対象者に含めることはできません。
労働基準法(第32条)によって、原則として、1週40時間又は1日8時間を超えて労働させることが禁止されています。これを法定労働時間と言います。
また、労働基準法(第35条)によって、原則として、少なくとも1週間に1日は休日を与えることが義務付けられています。これを法定休日と言います。
そして、労働基準法(第36条)によって、従業員の過半数代表者と36協定を締結して、労働基準監督署に届け出たときは、法定労働時間を超えて労働させること、法定休日に労働させることが可能になります。
ただし、36協定には、時間外労働の時間(法定労働時間を超える時間数)や休日労働の日数(法定休日に労働させられるの日数)の上限を記載することになっていて、時間外労働や休日労働はその範囲内で行う必要があります。
その上で、労働基準法(第60条)によって、「第32条の2から第32条の5まで、第36条、第40条及び第41条の2の規定は、満18才に満たない者については、これを適用しない。」と規定されています。
第32条の2から第32条の5まで、第36条、第40条及び第41条の2の規定は、次のとおりです。
- 第32条の2 1ヶ月単位の変形労働時間制
- 第32条の3 フレックスタイム制
- 第32条の4 1年単位の変形労働時間制
- 第32条の5 1週間単位の変形労働時間制
- 第36条 36協定
- 第40条 労働時間と休憩の特例
- 第41条の2 高度プロフェッショナル制度
18歳未満の者については、これらの労働基準法の規定が適用されません。この中の労働基準法第36条は、36協定の根拠となる規定です。
18歳未満の者については、労働基準法第36条の規定を適用できませんので、原則的な取扱いに戻ります。つまり、1週40時間又は1日8時間を超える時間外労働が禁止されて、少なくとも1週間に1日は休日(法定休日)を与えることが義務付けられます。
18歳未満の者については、36協定を適用できませんので、36協定の様式は「労働者数(満18歳以上の者)」となっています。18歳未満の者を間違ってカウントしないよう注意してください。また、実際にも、時間外労働や休日労働をさせてはいけません。
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