労使協定の自動更新
労使協定の自動更新
36協定等の労使協定を作成するときは、有効期間を定めることになっていますが、自動更新とすることは可能ですか?
36協定は、毎年、労働基準監督署に届け出ないといけませんので、自動更新はできません。しかし、自動更新が可能な労使協定もあります。
労使協定とは、会社と従業員の過半数代表者(又は過半数労働組合)が締結する協定(取り決め)のことを言います。
労働基準法等の法律に基づいて、比較的利用する機会が多い労使協定として、次のようなものがあります。
- 賃金の控除に関する労使協定 【労働基準法 第24条】
- 賃金の口座振込に関する労使協定
- フレックスタイム制に関する労使協定 【労働基準法 第32条の3】
- 1年単位の変形労働時間制に関する労使協定 【労働基準法 第32条の4】
- 一斉休憩の適用除外に関する労使協定 【労働基準法 第34条】
- 36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届) 【労働基準法 第36条】
- 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定 【労働基準法 第39条】
- 時間単位の年次有給休暇に関する労使協定 【労働基準法 第39条】
- 育児休業、介護休業等の適用除外に関する労使協定 【育児介護休業法】
労働基準監督署への届出については、次のように3通りあって、労使協定によって、取扱いが異なります。
- 届出が不要なもの
- 届出が必要なもの(1回届け出れば以後有効なもの)
- 一定期間ごとに、届出が必要なもの
まず、一定期間ごとに届出が必要なものとして、36協定と1年単位の変形労働時間制に関する労使協定があります。
清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制に関する労使協定も、これに該当します。清算期間が1ヶ月以内のフレックスタイム制の場合は、労使協定の届出は不要です。
36協定等の協定届を作成する場合は、有効期間は1年間とされていて、自動更新は認められていません。届出は、毎年行う必要があります。また、36協定等には従業員数を記載する欄がありますので、毎年修正しないといけません。
厳密に言うと、36協定書(社内用)と36協定届(届出用)を区別して、36協定書に自動更新の規定を設けることは可能ですが、36協定書と36協定届を併用している場合は、自動更新はできません。
1年単位の変形労働時間制に関する労使協定についても、年度ごとに労働日(休日)や各月の労働時間が変動しますので、実務的に自動更新はできないと考えられます。
一方、「届出が不要なもの」、「1回届け出れば以後有効なもの」については、自動更新が可能です。
賃金控除、賃金の口座振込、フレックスタイム制(清算期間が1ヶ月以内)、一斉休憩の適用除外、時間単位の年次有給休暇、育児介護休業等の適用除外に関する労使協定が該当します。
なお、自動更新とする場合の労使協定の規定例は、次のようになります。
「この協定の有効期間は、締結の日から1年間とする。ただし、有効期間満了の1ヶ月前までに、協定当事者のいずれからも改定又は廃止の意思表示がないときは、更に1年間有効期間を延長するものとし、それ以降も同様とする。」
労使協定の内容を確認して、特別な事情が生じない限り、変更が必要な事項がなければ、自動更新とする方法が効率的で良いと思います。しかし、年次有給休暇の計画的付与の労使協定など、年度ごとに内容(日程)が変わるものについては、年度ごとに作成するべきです。
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