半日単位の年次有給休暇の取得申請
半日単位の年次有給休暇の取得申請
年次有給休暇について、これまで当社では、1日単位で取得・消化していたのですが、従業員が通院のため、午前の半日だけ年次有給休暇を取得して、午後の半日は出勤したいと申し出てきました。会社は応じないといけないでしょうか?
年次有給休暇の半日単位の取得の申請については、会社に応じる義務はありません。会社の判断によって、1日単位で申請し直してもらうか、業務に支障が生じなければ半日単位で応じても構いません。
年次有給休暇は、従業員の心身の疲労を回復すること、及び、ゆとりのある生活を保障することを目的とした制度です。そのため、原則的には、1日単位で取得することとされています。
しかし、労働基準法が改正されて、従業員の過半数代表者と労使協定を締結したときは、時間単位で取得する方法が認められるようになりました。その場合でも、1日単位が原則ですので、時間単位で取得できるのは、1年につき5日が上限と定められています。
そして、半日単位の年次有給休暇の取得については、従来から、従業員が時季を指定して申し出て、会社が同意をすれば、取得できることになっています。
つまり、会社の判断で、応じるかどうか自由に決められます。また、半日単位の年次有給休暇の取得については、労使協定の締結は不要で、1年につき5日以内という制限もありません。
従業員にとっては選択肢が多い方が利用しやすいので、業務に支障が生じなければ、応じるのが望ましいと思います。
もし、半日単位の年次有給休暇の取得を認める場合は、労使間の思い違いを防止するために、就業規則に取扱いのルールを定めておいた方が良いでしょう。
半日単位ですので、取得したときは、0.5日分の年次有給休暇を消化したことになりますが、半日の区分の仕方が2通り考えられます。
例えば、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩時間が12時から13時までの会社があったとします。
まずは、午前と午後で区切る方法です。
- 午前の半日に年次有給休暇を取得した日は、13時から18時まで(5時間)勤務することになります。
- 午後の半日に年次有給休暇を取得した日は、9時から12時まで(3時間)勤務することになります。
どちらの場合も0.5日で計算しますので、所定労働時間が長い午後の取得に集中する恐れがあります。そのような心配がある場合は、1年につき5日(10回)など、半日単位の取得日数(回数)に上限を設定している会社もあります。
次に、実働時間で半分に区切る方法です。
- 始業時刻から年次有給休暇を取得した日は、14時から18時まで(4時間)勤務することになります。
- 終業時刻まで年次有給休暇を取得した日は、9時から14時まで(4時間)勤務することになります。休憩時間は取らないで、9時から13時まで勤務する方法も考えられます。
なお、半日単位の年次有給休暇を認めるかどうかは会社の自由ですので、1日単位で自由に取得できるようにしていれば、半日単位の取得に関して制限を設けることができます。また、年次有給休暇は従業員が会社に申請して利用する制度ですので、従業員が1日単位で取得を申請したときに、会社が半日単位に変更するよう強制することはできません。
- 他のページも見てみる【 2分で読める労務ワンポイント 】
- 欠勤した日を年次有給休暇の消化にあてても問題ないですか?
- 遅刻をしたときに、時間単位で年次有給休暇を消化させることはできますか?
- 3回遅刻をしたときに、1日の年次有給休暇を消化しても良いですか?
- 従業員が半日単位で年次有給休暇を申請したときは、応じないといけない?
- 育児休業中の従業員から年次有給休暇の申請があったのですが...?
- 当日の朝に年次有給休暇を申請してきた場合は認めないといけないのでしょうか?
- アルバイトが年次有給休暇を取ったときは、どのように処理をするのでしょうか?
- 休日としていた日を、年次有給休暇で充当するよう変更しても良いでしょうか?
- 1勤務が2暦日に渡る場合の年次有給休暇の消化日数は、どうなりますか?