半日単位の年次有給休暇の取得申請

半日単位の年次有給休暇の取得申請

これまで当社では、年次有給休暇は1日単位で取得することにしていましたが、従業員が、午前だけ年次有給休暇を取得して、午後は出勤したいと申し出てきました。会社は応じないといけませんか?

半日単位の年次有給休暇の取得の申請については、会社に応じる義務はありません。

年次有給休暇は、従業員の心身の疲労を回復して、ゆとりのある生活を保障することを目的とした制度です。これを実現するために、年次有給休暇は1日単位で取得する方法が原則となっています。

ただし、労働基準法(第39条第4項)によって、従業員の過半数代表者と労使協定を締結したときは、時間単位で取得する方法が認められています。なお、時間単位で取得できるのは、1年につき5日が上限と定められています。

半日単位の年次有給休暇の取得については、労働基準法に規定はありません。労使の自治に委ねられていますので、従業員が半日単位で年次有給休暇を請求して、会社が認めれば、半日単位で取得できます。労使協定の締結は不要で、1年につき5日以内という制限もありません。

会社が半日単位の年次有給休暇の取得を認めたくなければ、従業員の申出を拒否しても構いません。その場合は、1日単位で取得することになります。

役所や銀行の手続き、免許証の更新、通院、付き添い等、数時間で終わる用事が色々と考えられます。従業員にとっては選択肢が多い方が喜ばれますので、業務に支障が生じなければ、半日単位の取得を認めることが望ましいと思います。

半日単位の年次有給休暇の取得を制度として認める場合は、労使間で思い違いが生じないように、就業規則に取扱いのルールを定める必要があります。

例えば、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩時間が12時から13時までとすると、半日の区分の方法が、次のように2通り考えられます。

まずは、午前と午後で区切る方法です。

どちらの場合も0.5日の年次有給休暇を消化したことになりますので、所定労働時間が長い午後の取得に集中する恐れがあります。そのような心配がある場合は、1年につき5日(10回)など、半日単位の取得日数(回数)に上限を設定する方法もあります。

次に、実働時間で半分に区切る方法です。

半日単位の年次有給休暇を認めるかどうかは会社の自由ですので、半日単位の取得に関して会社がルールを設定できます。

また、年次有給休暇は従業員が会社に請求して利用する制度ですので、従業員が1日単位で請求したときに、会社が半日単位に変更するよう強制することはできません。