時間給のアルバイトの年次有給休暇の賃金

時間給のアルバイトの年次有給休暇の賃金

時間給のアルバイトやパートタイマーにも年次有給休暇を与えないといけないそうですが、年次有給休暇を取得したときは、賃金の処理はどうすれば良いでしょうか?

年次有給休暇を取得した日に通常どおり勤務したとみなして、賃金を支払ってください。

時間給のアルバイトやパートタイマーも、労働基準法上は正社員と同じ「労働者」として取り扱われますので、要件を満たしたときは、会社はアルバイトやパートタイマーにも年次有給休暇を付与しないといけません

ただし、1週間の所定労働時間が30時間未満で、1週間の所定労働日数が4日以下のアルバイトやパートタイマーについては、比例付与と言って、少ない付与日数とする方法が認められています。

例えば、正社員が6ヶ月継続勤務をして出勤率が8割以上だったときは、10日の年次有給休暇を付与することになっていますが、週4日のアルバイトが6ヶ月継続勤務をしたときは、7日になります。

そして、年次有給休暇を取得したときは、労働基準法第39条第9項によって、次のいずれかの方法で賃金を支払うことが定められています。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する金額

どの方法で支払うかは就業規則で規定します。ただし、3.の方法で支払う場合は、就業規則の記載に加えて、あらかじめ従業員の過半数代表者(又は過半数労働組合)と労使協定を締結することが条件になっています。

そして、時間給のアルバイトやパートタイマーに適用される就業規則(賃金規程)に、「年次有給休暇を取得したときは、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う」と規定している場合は、

で計算した賃金を支払うことになります。したがって、「その日の所定労働時間数」が、例えば、

を支払います。

ところで、年次有給休暇とは、出勤日の勤務を免除して、賃金を支払うという制度です。そのため、休日に年次有給休暇は取得できませんし、取得日を特定しないで賃金を支払えば良いというものではありません。

シフト制を採用している場合は、シフト表で具体的な出勤日と各日の所定労働時間を設定して、その後に、出勤日と定めている日を指定して年次有給休暇を取得することになります。

そして、シフト制を採用していると、日によって所定労働時間が異なる場合がありますが、その場合はどうしても、所定労働時間が長い日に年次有給休暇の取得が集中してしまいます。

そこで、「平均賃金」で支払うことにすると、取得日の所定労働時間に関係なく、一定の金額になります。なお、平均賃金とは、過去3ヶ月の間に支払った賃金総額をその暦日数で割った金額のことを言います。

「平均賃金」で支払うことにすると、反対に、所定労働時間が短い日に年次有給休暇の取得が集中します。「健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する金額」で支払う場合も同じです。

その都度、「平均賃金」で支払ったり、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で支払ったりすることはできません。就業規則で、年次有給休暇を取得した場合に、どの方法で支払うのか定めておく必要があります。

代替要員の確保のしやすさを重視すると、平均賃金で支払う方法が会社にとっては都合が良いと思います。しかし、その都度、平均賃金を算出しないといけないという面倒がある上に、手作業で算出していると、計算ミスが生じやすいです。また、平均賃金の最低保障額(労働日数で割った金額の6割)が設定されている点についても、注意が必要です。

1日の所定労働時間に長短があると、どの方法で賃金を支払うとしても、取得日の偏りを解消することは難しいです。