時間給のアルバイトの年次有給休暇
時間給のアルバイトの年次有給休暇
時間給のアルバイトやパートタイマーにも、年次有給休暇を与えないといけないそうですが、どのように処理をすれば良いのでしょうか?
年次有給休暇を取得した日に通常どおり勤務したものとして、賃金を計算して支払ってください。
年次有給休暇とは、出勤日(出勤する義務がある日)の勤務を免除して、賃金を支払うという制度です。
時間給のアルバイトやパートタイマーも、労働基準法上は正社員と同じ「労働者」ですので、要件を満たしたときは、会社はアルバイトやパートタイマーにも年次有給休暇を付与しないといけません。
また、年次有給休暇を取得したときは、労働基準法第39条第7項により、次のいずれかの方法で賃金を支払うことが定められています。
- 平均賃金
- 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
- 健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する金額
どの方法で支払うかは就業規則で規定することになっています。ただし、3.に限り、就業規則に加えて、あらかじめ過半数代表者(又は過半数労働組合)と労使協定を締結することが条件になっています。
そして、時間給のアルバイトやパートタイマーに適用される就業規則(賃金規程)に、「年次有給休暇を取得したときは、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う」と規定されている場合は、所定労働時間労働したものとみなして処理をしますので、
- 時間給×その日の所定労働時間数
で計算した金額を支払うことになります。したがって、「その日の所定労働時間数」が、例えば、
- 2時間の日に年次有給休暇を取得したときは、2時間分の賃金
- 8時間の日に年次有給休暇を取得したときは、8時間分の賃金
を支払わないといけません。
シフト制を採用していたりして、日によって所定労働時間が異なる場合がありますが、そのような場合はどうしても、所定労働時間が長い日に年次有給休暇の取得が集中してしまいます。
そこで、年次有給休暇を取得したときに支払う賃金を「平均賃金」とすると、取得日の所定労働時間に関係なく、一定の金額を支給することになります。
しかし、その都度、「平均賃金」で支払ったり、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で支払ったりすることはできません。就業規則で、年次有給休暇を取得したときの賃金を定めておく必要があります。
仮に、「平均賃金」で支払うよう就業規則を変更したとすると、反対に、所定労働時間が短い日に年次有給休暇の取得が集中します。「健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する金額」でも同じです。
代替要員の見付けやすさで言うと、平均賃金で支払う方法が会社にとっては都合が良いと思いますが、その都度、平均賃金(過去3ヶ月間の賃金の平均日額)を算出しないといけないという面倒を伴います。
所定労働時間が極端に短い日(長い日)があると、どの方法で賃金を支払うとしても、取得日の偏りを解消することは難しいように思います。
最後に、正社員についても言える大事なことですが、年次有給休暇の申出は基本的に拒否できませんので、一定割合の年次有給休暇を取得することを前提にして、人件費を予算化してください。
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