休日を年次有給休暇の計画的付与に変更

休日を年次有給休暇の計画的付与に変更

これまで、夏季と年末年始にまとまった休みを与えていたのですが、これらの日は年次有給休暇を消化するようにしたいと考えています。問題ないでしょうか?

従業員にとっては不利益に変更されることになりますので、会社が一方的に取扱いを変更することはできません。従業員に説明をして、同意を得る必要があります。

労働契約法(第8条)によって、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」と規定されています。

会社と従業員が合意したときは、労働条件(労働時間、休日、休暇など)を変更できることが定められています。したがって、会社が労働条件を変更しようとする場合は、従業員から同意を得る必要があります。

また、労働契約法(第9条)によって、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」と規定されています。

会社が就業規則を変更して、労働条件を(従業員にとって不利益に)変更しようとする場合も、原則的には、従業員から同意を得る必要があります。

以上のとおり、従業員から同意が得られれば、年次有給休暇を消化するように変更できますが、同意が得られなければ、会社が一方的に取扱いを変更することはできません。従業員から同意を得るために、丁寧に説明をすることが重要です。

会社としては、「休むことは同じだから大した不利益ではない」と思われるかもしれません。しかし、実際には、なかなか大きな不利益です。

年次有給休暇を消化するように変更したいということは、これまでは、夏季と年末年始の休みの日は“休日”(出勤する義務がない日)と位置付けていたと思われます。

年次有給休暇は出勤日(出勤する義務がある日)の勤務を免除して賃金を支払うという制度ですので、休日に取得することはできません。そのため、手続としては、休日としていた日を出勤日に変更して、その日に年次有給休暇を消化・充当することになります。

月給制の従業員にとっては、賃金は同じままで、年次有給休暇の日数を減らされることになります。賃金は同じままで、出勤日数を増やされると言い換えることもできます。

例えば、月給を時間給に換算した額が2,000円で1日8時間勤務とすると、1日につき16,000円が減額されるのと同じです。5日とすると、80,000円に相当します。従業員にとっては大きな不利益ですので、特別な事情や代償措置がなければ同意を得ることは難しいと思います。

仮に、夏季と年末年始の5日をそのように変更して(出勤日数を5日増やして)、年間休日を別の所で5日増やせば、全体で見るとプラスマイナスゼロで不利益変更には当たりません。

もし、1年単位の変形労働時間制を採用していて、1年間を平均して1週40時間を超えないようギリギリで所定労働時間と所定労働日を設定している場合は、そのようにせざるを得ないと思います。

また、例えば、これまで夏季の休日を3日としていた場合に、2日を追加して、この2日に対して年次有給休暇を消化・充当するのであれば、合計5日の内、3日は休日、2日は出勤日という条件は変わりませんので、個別に従業員から同意を得る必要はありません。

ただし、強制的に年次有給休暇を消化・充当する場合は、事前に従業員の過半数代表者と年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定を締結する必要があります。