SNS等の誹謗中傷に対する懲戒

SNS等の誹謗中傷に対する懲戒

インターネット上に、当社の従業員が上司に対する誹謗中傷を書き込んでいることが発覚しました。会社は従業員を懲戒処分できますか?

その内容が、会社や上司の信用を失墜したり、会社の機密を漏洩したりするようなものであれば、会社は就業規則に基づいて懲戒処分を行えます。

最近は、個人でもホームページやブログを簡単に作成できます。また、SNSや掲示板に、会社で起きた出来事を書き込んでいるケースがあります。

取るに足りないものであれば目くじらを立てる必要はありませんが、誹謗中傷をして会社や他の従業員の信用を失墜したり、会社の機密を漏洩したりするようなものは、見過ごすことはできません。

従業員が書き込んだ内容や経緯、事実の有無、業務上の支障の有無、本人が反省しているかどうか等によっては、口頭による注意や指導で終わらせる場合があります。

本人が反省していなくて、再び同様の行為をする恐れがある場合は、懲戒処分を検討することが考えられます。

ただし、会社が懲戒処分をするときは、就業規則に懲戒の種類と懲戒の事由を定めて、就業規則に基づいて対応する必要があります。そのため、就業規則を作成していない会社は、懲戒処分を行えません。

就業規則を作成していても、懲戒の事由に該当する事項がなければ、懲戒処分を行えません。普通は、会社の信用を失墜する言動をしたときは、懲戒処分の対象になっていると思います。

また、誹謗中傷に関連して、会社の機密を漏洩したり、職場の秩序を乱して、他の従業員の業務の遂行に悪影響が生じたりしている場合も、懲戒事由に記載していれば、懲戒処分の対象になります。

そして、どの懲戒処分が適切かは、誹謗中傷の内容や経緯、事実の有無、業務上の支障の有無、本人が反省しているかどうか等によります。また、懲戒処分を決定する前に、本人に弁明の機会を与えることが欠かせません。

労働契約法(第15条)によって、従業員が違反行為をしたときに、一般常識で考えて、厳し過ぎる懲戒は無効になることが定められています。

懲戒の種類として、軽い順から、譴責(戒告)、減給、出勤停止、諭旨退職、懲戒解雇と定めている就業規則が多いと思います。

例えば、誹謗中傷の書き込みを繰り返していて、動機に酌量できる余地がなく、売上や取引関係に悪影響が生じている場合は、懲戒解雇が認められる可能性があります。