携帯電話の私的利用
携帯電話の私的利用
会社から従業員に携帯電話を貸与していますが、一部の従業員が携帯電話を私的に利用しているようです。就業規則に基づいて、懲戒処分をしても良いでしょうか?
その前に、携帯電話の私的利用を禁止することを、従業員に説明・周知するべきです。
会社の設備や備品等は会社の所有物ですので、会社に管理をする権限があります。それらの利用は業務を遂行するために認めているだけで、一般的には私的に利用をすることは認めていません。
そのため、就業規則に、会社の設備や備品等の私的な利用を禁止することを定めていると思います。就業規則の服務規律や懲戒の事由に、会社の備品等の私的利用を禁止する規定があれば、会社は違反行為として懲戒処分を行えます。
しかし、会社が携帯電話の私的利用を把握していたにもかかわらず、会社が注意をしないで放置していたとすると、会社は黙認していたと判断される可能性があります。
また、横領等の重大な違反行為は別ですが、軽微な違反行為については、最初は口頭で注意や指導をして、それでも違反を繰り返した場合に、就業規則に基づいて懲戒処分を検討した方が良いと思います。
会社は黙認していたと判断されると、懲戒処分は無効になる可能性が高いですし、従業員からは、「一度も注意されなかったのに、急に懲戒処分と言われても納得できない」と反発されます。
したがって、これまでの取扱いを改めて厳しくするのであれば、一旦仕切り直して、懲戒処分をする前に、携帯電話の私的利用を禁止すること、就業規則に違反する行為で懲戒処分の対象とすることを従業員に周知しておく必要があります。
そうすれば、携帯電話の私的利用が違反行為であることが明らかになりますので、懲戒処分が有効と認められやすくなります。従業員にとっても、「急に懲戒処分をされた」という言い訳ができないようになります。
会社としては懲戒処分をすることが目的ではなく、私的利用をなくすことが目的と思います。また、できる限り、労使関係を損なわない方法が望ましいです。
そして、懲戒処分をするときは、通話履歴やSNSの利用記録など、客観的な証拠を集めて、本人に弁明の機会を与えることが大事です。
SNS、メール、アプリ等、携帯電話は通話以外の利用が多くなって、私的利用に関するトラブルが増えています。就業規則の服務規律や懲戒の事由に、会社の備品等の私的利用を禁止する規定とは別に、独立して携帯電話の私的利用を禁止する項目を設けておくと良いでしょう。
違反行為に該当することが明らかになりますので、指導がしやすくなります。
以上については、従業員に携帯電話を貸与している会社、業務で携帯電話を使用している会社に限りません。従業員個人の携帯電話についても、労働時間中の私的な利用は、職務専念義務に違反する行為として、就業規則で禁止できます。
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