二日酔いで帰宅命令
二日酔いで帰宅命令
従業員が二日酔いで出勤したときは、帰宅させても良いでしょうか?また、懲戒処分は認められますか?
業務に支障がある場合は、帰宅を命じることができます。2回目以降は懲戒処分を検討した方が良いと思います。
労働時間外のプライベートの時間に何をするかは、本人の自由です。会社が従業員に対して、飲酒を禁止するような権限はありません。しかし、二日酔いで出勤して、業務に支障が生じる場合は見過ごせません。
会社と従業員は、労働契約の関係にあります。労働契約とは、会社の指示に従って従業員が職務を遂行して、その対価として会社が従業員に賃金を支払うという契約です。
二日酔いが原因で、指示された業務を遂行できなければ、労働契約が成立しません。業務に支障がある場合は、会社は労務の受領を拒否して、従業員に対して、帰宅・退勤を命じることができます。
特に、接客業で酒臭い従業員に顧客の対応を任せることはできませんし、危険が伴う職場では判断が遅れて安全面で問題があります。
賃金に見合った業務を遂行できなくても、従業員が会社に居残って出勤した状態になっていると、通常どおり賃金を支払うよう求められます。帰宅・退勤せれば、賃金の支払い義務はありません。
なお、会社の都合で休業させる場合は、労働基準法(第26条)に基づいて、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務がありますが、二日酔いが原因の場合は会社の都合ではありませんので、休業手当を支払う必要はありません。
就業規則に、「飲酒又は過労等により、業務の遂行が不完全となる恐れがある者に対して、退勤を命じることがある」といった規定を設けていれば、退勤を命じる際に従業員に説明しやすいです。
懲戒処分については、就業規則の服務規律で、「酒気を帯びて就業しないこと」といった内容を定めていれば、酒気を帯びて就業したときは、就業規則に違反する行為として、懲戒処分の対象になります。ただし、就業する前に帰宅・退勤させた場合は、これには該当しません。
二日酔いの出勤が初めての場合は、本人にとっても想定外かもしれませんので、実務上は、その日は欠勤扱いにしたり、年次有給休暇を消化したりして、口頭による注意や警告で良いと思います。
2回目以降は予測できるはずですので、無断欠勤と同じ程度の違反行為と考えられます。本人に弁明の機会を与えて、事情を考慮した上で、譴責や戒告(始末書の提出)の懲戒処分を行って、反省を促すことになると思います。
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