入社時の社会保険料の控除
入社時の社会保険料の控除
従業員を採用したときは、どのタイミングで社会保険料を控除すれば良いでしょうか?
当月分の社会保険料(健康保険と厚生年金保険の保険料)は、翌月末日が納付期限ですので、これに合わせる方法が分かりやすいと思います。
賃金から控除している社会保険料が何月分のものか分かっていないケース、実際には社会保険料が掛かっていないにもかかわらず賃金から控除しているケースがあります。
社会保険(厚生年金保険と健康保険)の保険料は、月単位で掛かります。原則的には、月の末日に在籍している場合は、その月分の社会保険料が掛かります。入社日や退社日によって日割計算されません。
例えば、9月1日に入社したAさん、9月末日に入社したBさん、どちらも9月分の社会保険料が掛かります。標準報酬月額が同じとすると、社会保険料はAさんもBさんも同額になります。
そして、当月分の社会保険料は翌月末日が納付期限ですので、例えば、9月分の社会保険料は10月末日が納付期限となります。
社会保険料を控除するタイミングについては、賃金の締切日によって異なります。
賃金の締切日が末日で、支払日が翌月の場合は分かりやすいです。例えば、9月1日から9月末日の間に入社した従業員については、最初の10月に支払う賃金から、社会保険料(9月分)の控除を開始します。
一方、賃金の締切日が末日でない場合は、少し複雑になります。例えば、賃金の締切日が15日で、支払日が当月25日とすると、9月25日に支払う賃金の対象期間は、8月16日から9月15日までです。
8月16日から8月31日の間に入社した従業員については、8月末日に在籍していますので、8月分の社会保険料が掛かります。この場合は、最初の9月25日に支払う賃金から、社会保険料(8月分)の控除を開始します。
しかし、9月1日から9月15日の間に入社した従業員については、8月末日に在籍していませんので、8月分の社会保険料は掛かりません。この場合は、最初の9月25日に支払う賃金から、社会保険料は控除しないで、次の10月25日に支払う賃金から、社会保険料(9月分)の控除を開始することになります。
賃金の締切日が末日の場合は、賃金の計算期間と社会保険料の掛かる期間が一致しますが、賃金の締切日が末日でない場合は、入社日によって、最初の賃金から社会保険料を控除する場合としない場合の2パターンがあります。
以上の処理方法は、9月末日納付分(8月分)の社会保険料を、9月に支払う賃金から控除する場合を想定しています。
健康保険法(第167条)では、「被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除することができる」と規定されていますので、前月分の社会保険料を賃金から控除する取扱いは正しい方法です。
しかし、一部の会社で、9月末日納付分(8月分)の社会保険料を、8月に支払う賃金から控除しているケースがあって、余計に複雑になって取扱いが混乱している場合があります。
退職時に適正に処理をして過不足が生じなければ、トラブルに発展することはないと思いますが、ミスを防止することを考えると、健康保険法で定められているとおり、前月分の社会保険料を賃金から控除する取扱いとするべきです。
賃金から控除している社会保険料は、前月分(当月末日納付分)か、当月分(翌月末日納付分)か、担当者が理解しているか確認してはいかがでしょうか。
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