従業員旅行(慰安旅行)の強制

従業員旅行(慰安旅行)の強制

当社では毎年、従業員旅行(慰安旅行)を実施しているのですが、「行きたくない」という従業員が現れました。どうすれば良いでしょうか?

まずは、従業員旅行(慰安旅行)を任意参加とするのか、強制参加とするのか決めてください。

従業員旅行には、任意参加(自由参加)と強制参加の2種類があります。

従業員旅行に参加するか、参加しないか、従業員が自由に決められる場合は、任意参加(自由参加)となります。不参加の場合は、そのまま認めることになります。

従業員旅行への参加を義務付ける場合は、強制参加となります。業務命令として明示的に義務付けていなくても、欠勤扱いで賃金を減額したり、マイナス評価をしたりして、参加しなかった従業員に不利益が及ぶケースも強制参加となります。

任意参加と強制参加の相違を整理すると、次のようになります。

任意参加強制参加
法的な性質プライベート業務
実施日休日出勤日
賃金の支払い義務なしあり
旅行費用の負担本人に負担を求めることは可能全額会社負担
労災保険給付受けられない受けられる可能性が高い

任意参加の従業員旅行はプライベートの旅行とほぼ同じですので、通常は休日に実施して、会社は賃金を支払いません。出勤日に実施する場合、不参加の従業員は会社に出勤して通常業務を行うことになります。振替休日で対応するケースもあります。

任意参加の場合に、従業員旅行の積立金を賃金から控除している会社があります。参加しなかった従業員については、積立金を本人に返還する必要があります。

強制参加の従業員旅行は業務に位置付けられますので、通常は出勤日に実施しますが、休日に実施する場合、参加者については、休日出勤扱いになります。

強制参加の場合に、「行きたくない」という従業員は業務命令違反として、懲戒処分を行うことも考えられますが、年次有給休暇を請求した場合は認めざるを得ないと思います。従業員旅行の目的や重要性を説明して、理解を得ることが大事です。

従業員旅行への参加を強制しているにもかかわらず、参加者に賃金を支払わなかったり、本人に旅行費用を負担させたりすることはできません。

一方、参加を自由として、参加者に賃金を支払ったり、会社が旅行費用を全額負担したりすることは、従業員にとって有利な取り扱いですので可能です。