あっせん開始通知書(参加・不参加)
あっせん開始通知書(参加・不参加)
紛争調整委員会から、あっせん開始通知書が届きました。先日、退職した従業員が申請したようで、あっせんに参加するかどうか、連絡するよう求められています。どうすれば良いでしょうか?
あっせんに参加する義務はありません。労働審判や通常の裁判(民事訴訟)の手続きに進んだ場合のことを想定して、参加するかどうか検討してはいかがでしょうか。
紛争調整委員会による、あっせんの手続きの流れは、次のようになっています。
- 従業員や退職者が都道府県労働局に、あっせんの申請を行います。
- 都道府県労働局が紛争調整委員会に、あっせんを委任します。
- 紛争調整委員会から会社に、あっせん開始通知書を送付して、参加又は不参加の意思確認を行います。
- 参加する場合は、あっせん期日(あっせんを行う日)を決定して、あっせんを行います。
会社は3.の段階で、あっせんの申請が行われたことを知ります。そして、あっせんに参加するか、参加しないか、紛争調整委員会に連絡することになっています。
紛争調整委員会による、あっせんには、次のような特徴があります。
- あっせんに参加するかどうかは自由です。
- 労使の双方が譲歩する内容で、あっせん案が提示されます。
- あっせん案に応じる義務はありません。
- あっせんの費用は無料です。
- 1回の話し合いで終わります。
あっせんに参加するかどうかは、一概に「参加した方が良い」「参加しない方が良い」と言えるものではなく、個別の紛争内容によります。労働審判や通常の裁判(民事訴訟)の手続きに進んだ場合のことを想定して、検討するのが良いと思います。
例えば、会社が従業員を解雇して、その者が不当解雇を主張して裁判を申し立てると、解雇が無効か有効かという判断が下されます。
そして、解雇が無効と判断されると、職場に復帰した上に、解雇した日以降は通常の勤務をしていたとみなして、賃金の全額を支払わされます。つまり、解雇をして1年後に判決が出たとすると、会社は1年分の賃金をさかのぼって支払わないといけません。
反対に、解雇が有効と判断された場合は、現状維持で特に何もありません。会社の主張が認められたとしても、弁護士の費用や時間が掛かります。
裁判は、解雇が有効か無効かというように、白か黒かを判定する場所です。あっせんは、労使の双方が譲歩して、従業員は解雇を受け入れる代わりに、会社は解決金を支払うというように、柔軟な解決案(あっせん案)が提示されるケースが多いです。
したがって、通常の裁判(民事訴訟)の手続きに進んだと仮定して、会社の主張が認められると確信できる場合で、解決金を支払うつもりがなければ、あっせんは不参加で良いと思います。不参加を理由にして、会社に不利益が及ぶことはありません。
相手が納得しなければ、労働審判や通常の裁判(民事訴訟)の手続きに移行する場合があります。
なお、労使の間に入るあっせん委員は、弁護士や大学教授等の労働問題の専門家が、中立の立場で紛争の解決に向けて調整を行います。第三者の専門家の意見を聴くために、参加することも考えられます。
一方、会社の主張が認められない可能性があって、解決金を支払っても良いと考えるのであれば、あっせんに参加した方が良いです。
労使で合意すれば民法上の和解契約の効力が生じますので、その事案について、裁判に訴えられる心配がなくなります。なお、あっせん委員が提示するあっせん案(解決金の額)に納得できなければ拒否できます。
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