学生アルバイトの雇用保険と社会保険の加入義務

学生アルバイトの雇用保険と社会保険の加入義務

夏休みの期間だけ、高校生か大学生のアルバイトを採用しようと思っています。雇用保険と社会保険の加入手続きは必要ですか?

雇用保険については、学生は適用が除外されていますので、加入手続きは不要です。社会保険(厚生年金保険と健康保険)については、個々の労働条件によります。

雇用保険

雇用保険は、従業員が失業した場合に必要な給付をして、生活の安定を図ることを第一の目的とした制度です。

学生は学業がメインですので、アルバイトを辞めたとしても、本来の学業に戻るだけです。失業(働きたいけど働けない状態)と同列に取り扱うことは相応しくありません。

雇用保険法でも、「学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒」については、適用が除外されています。また、学校教育法において、それぞれ次のように定められています。

  1. 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校(第1条)
  2. 専修学校(第124条)
  3. 都道府県知事の認可を受けた各種学校(第134条)

ただし、学生や生徒であっても、雇用保険法施行規則によって、例外中の例外で、次の者は雇用保険法が適用されることになっています。

  1. 卒業見込証明書があって、卒業後も引き続きその会社で雇用される予定の者
  2. 休学中の者
  3. 定時制(夜間部)の者
  4. 会社の命令又は承認を受けて、雇用関係を存続したまま大学院等に在学する者
  5. 通信教育を受けている者

そして、雇用保険の加入要件は、次のように定められています。

  1. 31日以上雇用する見込みがある
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上である

通常の昼間部の高校生や大学生については、これらの要件を満たしていたとしても、適用が除外されていますので、雇用保険には加入できません。したがって、雇用保険の保険料は掛かりません。

一方、夜間部の高校生や大学生については、一般の者と同様に取り扱われますので、これらの要件を満たしている場合は、雇用保険に加入しないといけません。

労災保険

労災保険は、業務災害や通勤災害による従業員の負傷、疾病、障害、死亡等に対して、必要な保険給付を行うことを目的とした制度です。

学生に対して、労災保険の適用を除外する理由はありません。保護の対象とするべきですので、学生にも労災保険は適用されます。

なお、労災保険については、個別に加入手続きをすることはありませんが、労働保険の年度更新の手続きをするときは、学生に支払った賃金を含めて労災保険料を算出します。

社会保険(厚生年金保険と健康保険)

社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入要件は、原則として、次のように定められています。

この両方の要件を満たす者については、学生であっても加入が義務付けられます。ただし、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者については、適用が除外されています。加入できません。

この要件を満たさないとしても、社会保険(厚生年金保険と健康保険)にはもう1つの基準があって、被保険者数が51人以上の特定適用事業所で勤務する者については、次の要件を全て満たしている場合は、加入が義務付けられます。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 所定内賃金が月額8.8万円以上である
  3. 学生ではない

学生の範囲については、雇用保険の学生の範囲と同じと考えて差し支えありません。

通常の昼間部の高校生や大学生については、後者(特定適用事業所)の要件に基づいて加入を求められることはありませんが、前者(正社員の4分の3以上)の要件を満たしている場合は、加入義務があります。

社会保険に加入したくない場合は、1週間の所定労働時間又は1ヶ月の所定労働日数を正社員の4分の3未満にするか、2ヶ月以内の期間を定めて雇用する(実際の雇用契約の期間も2ヶ月以内にする)必要があります。