短時間正社員の社会保険の加入

短時間正社員の社会保険の加入

当社の従業員数は20人で、短時間正社員の制度を導入しようと検討しています。1週間の所定労働日数を30時間未満にすると、社会保険から外れることになりますか?

一定の条件を満たしている場合は、1週間の所定労働時間が30時間未満になったとしても、社会保険(健康保険と厚生年金保険)は継続して加入できます。

健康保険法及び厚生年金保険法によって、次のいずれにも該当する者については、健康保険及び厚生年金保険の被保険者になる(加入義務がある)ことが定められています。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 標準報酬月額が88,000円以上である
  3. 学校教育法に規定する生徒又は学生でない

この基準は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の特定適用事業所に適用されます。

厚生年金保険の被保険者数が50人以下で特定適用事業所に該当しない企業については、次のいずれにも該当する者は、健康保険及び厚生年金保険の被保険者になる(加入義務がある)と定められています。

  1. 1週間の所定労働時間が、正社員の所定労働時間の4分の3以上である
  2. 1ヶ月間の所定労働日数が、正社員の所定労働日数の4分の3以上である

正社員の4分の3ですので、例えば、正社員の所定労働時間が1週40時間とすると、1週30時間が基準になります。また、正社員の1ヶ月間の所定労働日数が22日とすると、1ヶ月16.5日が基準になります。

いずれにも該当する者ですので、どちらか一方が4分の3未満になっていれば、原則的には、健康保険及び厚生年金保険に加入できません。

したがって、当初は加入基準を満たして社会保険(厚生年金保険と健康保険)に加入していても、所定労働時間や所定労働日数を短縮して加入要件を満たさなくなった場合は、社会保険の資格喪失の届出をしないといけません。

しかし、短時間正社員の制度を導入する企業が増えていて、一律にこの基準を適用して社会保険の資格喪失を強制すると、様々な不都合が生じることが予想されます。

そのため、4分の3の加入要件を満たしていないとしても、通達によって、次の3つの条件を全て満たしている場合は、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の被保険者として取り扱うことが示されました。

  1. 就業規則等に短時間正社員に関する規定がある
  2. 期間の定めのない労働契約を締結している
  3. 時間当たりの基本給や賞与、退職金等の算定方法等が正社員と同等で、それを賃金規程等に規定している

非正規のパートタイマーは認められませんが、短時間正社員は常用的使用関係にある者として、社会保険に継続して加入できます。最初から短時間正社員として雇用する者も同じ取扱いです。

また、雇用保険の加入義務については、1週間の所定労働時間が20時間以上かどうかが基準になっています。

雇用保険については、短時間正社員に関する通達はありませんが、育児短時間勤務を行ったりして、将来、20時間以上に復帰することが前提で、一時的に20時間未満になる場合は、雇用保険に継続して加入できます。