健康保険 被保険者資格証明書の交付

健康保険 被保険者資格証明書の交付

入社を予定している従業員が、直ぐに医療機関で診察・治療を受けたいそうです。窓口に行けば、その場で健康保険証を発行してもらえますか?

健康保険証(被保険者証)は発行してもらえませんが、年金事務所の窓口に行けば、「健康保険 被保険者資格証明書」を発行してもらえます。

健康保険の加入要件を満たしている者は、法律(健康保険法)上は、入社日から3割負担で診察や治療等を受けられます。入社日までは、そのときに加入している健康保険制度を利用します。

従業員を採用して、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入要件を満たしている者については、入社して5日以内に「資格取得届」を事務センター又は年金事務所に提出することになっています。電子申請による届出も可能です。

そして、日本年金機構が届出を受理して、2〜5営業日でマイナ保険証が利用できるようになります。そのため、入社して直ぐの間(約10日)は、医療機関で診察や治療等を受けたくても、マイナ保険証を利用できません。

マイナ保険証の利用登録をしていない場合に交付される資格確認書についても、本人の手元に届くまで利用できないのは同じです。なお、2024年12月以降は、健康保険証(被保険者証)は発行されなくなりました。

マイナ保険証(又は資格確認書)を利用できない場合は、医療機関の窓口で医療費の全額を支払って、後で療養費として7割分(立て替え払いをした分)を請求できます。

ただし、協会けんぽ(全国健康保険協会)に「健康保険療養費支給申請書」を提出して、診療明細書や領収書(領収明細書)を添付する必要があったりして、手続きの手間が掛かります。

一時的にでも医療費の全額を支払うのは負担で、本人の手続きの手間を考慮して、「被保険者資格証明書」の交付を受けることができます。マイナ保険証を利用しない場合に交付される資格確認書と名称が似ていますが、別の物です。

「資格証明書」を医療機関に提示すれば、マイナ保険証と同様に取り扱われますので、3割負担で診察や治療等を受けられます。従業員本人だけではなく、扶養家族(被扶養者)も同じです。

資格証明書の交付を受ける場合は、年金事務所の窓口に、「資格取得届(及び異動届)」と一緒に「被保険者資格証明書交付申請書」を提出します。

なお、会社の担当者が出向く場合は、「委任状」及び「身分証明書」(個人番号カード、運転免許証等)を持参する必要があります。

そして、通常は、その場で資格証明書を発行(押印)してもらえます。郵送による届出も可能ですが、発送に時間が掛かります。

なお、資格証明書の有効期限は、交付日から20日以内です。有効期限が経過したとき、又は有効期間内であってもマイナ保険証が利用可能になったとき(資格確認書が交付されたとき)は、資格証明書を年金事務所に返却しないといけません。