社会保険の加入拒否の対応
社会保険の加入拒否の対応
パートタイマーから「社会保険に加入したくない」と言われました。どうすれば良いでしょうか?
会社としては、法律に則った対応をするべきです。
社会保険(厚生年金保険と健康保険)及び雇用保険については、それぞれ厚生年金保険法、健康保険法、雇用保険法によって、加入要件が定められていて、加入要件を満たしている者については、加入する義務があります。
パートタイマーが「どうしても社会保険に加入したくない」と言うのでしたら、会社の業務に支障が生じないことが前提ですが、加入基準を満たさないように労働時間を減らすべきです。
本人が希望したとしても、法律的に間違った対応をしていると、会社が法律違反を犯したことになります。また、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の保険料の納付義務は会社にあります。
そのため、加入基準を満たしているにもかかわらず、未加入者がいることが発覚すると、会社に対して、最大2年前までさかのぼって社会保険料の納付を求められます。社会保険料は労使折半が原則ですが、従業員が退職すると、本人負担分の社会保険料を徴収できない場合があります。
また、雇用保険の加入義務を怠っている場合も問題になります。
雇用保険については、原則的には、1年以上加入していれば、失業給付が支給されます。当然ですが、雇用保険の加入手続きをしていないと、失業給付は支給されません。
そして、雇用保険の加入義務があるにもかかわらず、加入手続きをしていないと、退職時に本人から、会社に対して失業給付の支払いを求められるかもしれません。
「雇用保険の加入義務が課されているのは会社で、会社が手続きを怠っていたことが原因で、失業給付が支給されない。だから、会社が失業給付を肩代わりするべきだ」と主張される可能性があります。
以上のとおり、法律的に間違った対応をすると、「本人が希望したからそうした」と言っても通用しません。違法行為をしたのは会社と判断されて、結果的にその責任は会社に負わされますので、会社としては法律に則った対応をするべきです。
社会保険(厚生年金保険と健康保険)及び雇用保険の加入基準を満たしている場合は加入する、又は、加入しない場合は加入基準を満たさないように労働時間を減らす、のどちらかです。
そのようなことを言い出す前に、採用面接の際に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)及び雇用保険の加入の有無を確認することが大事です。
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