健康保険の加入希望
健康保険の加入希望
健康保険の加入基準に満たない従業員が、「健康保険に加入したい」と言ってきました。健康保険の加入手続きをしても問題はないでしょうか?
健康保険の加入要件を満たしていない従業員は、健康保険に加入できません。
健康保険の加入要件は、次のように定められています(厚生年金保険の被保険者数が50人以下の会社)。
- 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
- 1ヶ月間の所定労働日数が正社員の4分の3以上
この両方の基準を満たしている者(契約社員、パートタイマー、アルバイト等の名称は問いません)は、被保険者として健康保険に加入することが義務付けられます。例えば、
- 正社員の1週間の所定労働時間が40時間とすると、30時間以上
- 正社員の1ヶ月間の所定労働日数が21日とすると、15.75日以上
が基準になります。一方でも満たしていない者は、健康保険に加入できません。本人が希望して加入できるものではありません。
従業員が健康保険の加入を希望する場合は、会社に不都合が生じないことが前提ですが、両方の基準をクリアするように、雇用契約(労働条件)の内容を改める必要があります。
健康保険で説明しましたが、健康保険と厚生年金保険の加入要件(基準)は同じですので、セットで加入することになります。厚生年金保険は加入しないで、健康保険だけ加入することはできません。
また、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の特定適用事業所については、上の基準を満たしていなくても、次の条件を全て満たしている者は、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入が義務付けられます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 賃金の月額が8.8万円以上である
- 学生でない
加入要件が異なりますが、全てを満たしている者は加入義務があって、いずれかを満たしていない者は(本人が希望しても)加入できないという考え方は同じです。
更に、雇用保険については、加入要件が次のように定められています。
- 31日以上雇用する見込みがある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
雇用保険も同じで、本人の意思は関係ありません。両方の加入要件を満たしている者は雇用保険に加入する義務があって、加入要件を満たしていない者は(本人が希望しても)雇用保険に加入できません。
以上の取扱いは法律(健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法)で決まっていることです。法律と異なる対応をしていると、違法行為をした会社に責任が及びますので、法律に基づいて適正に処理をするべきです。
入社した後になって、社会保険(厚生年金保険と健康保険)や雇用保険の加入の有無について、加入要件と反対の希望を言ってくるケースがあります。求人票に加入の有無を記載しているとしても、採用面接の際に説明をして本人から同意を得ておくことが望ましいです。
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