社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入要件

社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入要件

社会保険(厚生年金保険と健康保険)の保険料が高額ですので、できれば加入したくありません。加入しないといけませんか?

厚生年金保険法及び健康保険法で義務付けられていることですので、要件を満たしている場合は加入しないといけません。

厚生年金保険の保険料率は標準報酬月額の18.3%、健康保険の保険料率は都道府県ごとに異なっていて標準報酬月額の約10%です。また、40歳以上の従業員が加入する介護保険の保険料率は標準報酬月額の2%弱です。

合計すると社会保険の保険料は標準報酬月額の約30%で、労使折半で負担することになっています。標準報酬月額は賃金とほぼ同じですので、会社と従業員がそれぞれ賃金の15%ずつを社会保険料として負担する必要があるということです。

健康保険法(第3条)によって、次のいずれかに該当する者については、健康保険の被保険者になれないことが定められています。厚生年金保険法でも同様の規定が設けられています。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間未満である
  2. 標準報酬月額が88,000円未満である
  3. 学校教育法に規定する生徒又は学生である

言い換えると、次のいずれにも該当する者については、健康保険の被保険者になる(加入義務がある)ということです。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 標準報酬月額が88,000円以上である
  3. 学校教育法に規定する生徒又は学生でない

この基準は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の特定適用事業所に適用されます。

厚生年金保険の被保険者数が50人以下で特定適用事業所に該当しない企業については、健康保険法の附則によって、次のいずれにも該当する者は、健康保険の被保険者になる(加入義務がある)と定められています。

  1. 1週間の所定労働時間が、正社員の所定労働時間の4分の3以上である
  2. 1ヶ月間の所定労働日数が、正社員の所定労働日数の4分の3以上である

正社員の4分の3ですので、例えば、正社員の所定労働時間が1週40時間とすると、1週30時間が基準になります。また、正社員の1ヶ月間の所定労働日数が22日とすると、1ヶ月16.5日が基準になります。

いずれにも該当する者ですので、どちらか一方が4分の3未満になっていれば、健康保険に加入しなくても構いません(加入できません)。

もし、健康保険の加入要件を満たしているにもかわわらず、加入していないことが発覚すると、最大2年前までさかのぼって、保険料の納付を求められます。既に退職していると、本人から従業員負担分の保険料を徴収することが難しくなります。

したがって、健康保険の加入基準を満たしているけれども、加入したくない場合は、会社と本人が合意した上で、加入基準を満たさないように、1週間の所定労働時間又は1ヶ月間の所定労働日数を4分の3未満に減らす必要があります。労働条件の変更ですので、会社が一方的に変更することはできません。

なお、この基準は”当分の間”適用されることとなっていますので、将来的には上の特定適用事業所に適用される基準に統一されます。

また、健康保険で説明しましたが、健康保険と厚生年金保険は一体的に取り扱われます。厚生年金保険法でも同様の内容が定められていますので、同じ基準が適用されます。


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。