配偶者の扶養に入るには
配偶者の扶養に入るには
社会保険に加入しているパートタイマーがいるのですが、夫の扶養に入りたいと言ってきました。会社としては応じても構いませんので、勤務時間を減らせば良いのでしょうか?
社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入基準を下回って、被扶養者の年収基準を下回れば、夫の被扶養者になれます。
現在、社会保険(厚生年金保険と健康保険)に加入している従業員が勤務を継続したまま、配偶者の扶養に入ろうとすると、自身で加入している社会保険から外れて、配偶者の被扶養者になる、という2つの手続きをすることになります。
社会保険の加入要件と被扶養者の年収要件がそれぞれ定められていますので、2つの異なる要件をクリアする必要があります。
まず、社会保険の加入要件については、次のように定められています。
- 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
- 1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
この両方を満たしている場合は、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の被保険者として、加入が義務付けられます。
したがって、これに当てはまらない働き方に変更すれば、加入要件を満たしませんので、社会保険に加入する必要はありません(加入できません)。
例えば、正社員の1週間の所定労働時間が40時間とすると、1週間の所定労働時間を30時間未満にすれば、加入要件を満たさないことになります。
1週間の所定労働時間を25時間程度にして、雇用契約書を締結し直せば、社会保険の加入要件を満たしませんので、社会保険(厚生年金保険と健康保険)から外れます。資格喪失の手続きを行います。
ただし、雇用契約書を締結し直したとしても、日常的に残業をして、1週間の実働時間が30時間以上の状態が続くと、加入要件を満たしていると判断されます。さかのぼって加入しないといけませんので、残業時間には注意してください。
また、社会保険の適用範囲が拡大されていて、原則的には上で説明したとおりですが、被保険者数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)の企業(特定適用事業所)で勤務する者については、次の全てに該当する場合は、社会保険の加入が義務付けられます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 賃金が月額8.8万円以上である
- 学生でない
なお、1週間の所定労働時間が20時間未満になると、雇用保険の加入要件を満たしませんので、雇用保険も外れることになります。
次に、被扶養者の年収要件については、年収の見込額が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)であることが条件になっています。
見込額ですので、過去の収入は考慮しません。現在及び将来の収入で、年収130万円を月額に換算すると約10万8千円が基準になります。
年収の見込額が130万円以上(月額で約10万8千円以上)の場合は、社会保険の資格を喪失したとしても、被扶養者になれませんので、国民健康保険と国民年金に加入することになります。
ところで、稀に、「出産を控えているので、夫の扶養に入りたい」という人がいますが、被扶養者には健康保険の出産手当金が支給されません。仮に、標準報酬月額が15万円で、産前産後休業を98日間取得したとすると、出産手当金は合計で約32万円(2ヶ月強の賃金)になります。
家庭の事情があったり、身体的な問題があったりする場合は仕方がないですが、出産を控えている場合は、産前産後休業及び育児休業の期間は社会保険料の負担が免除されますので、損得で言うと、健康保険は自身が被保険者のまま加入し続けた方が得です。
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