勝手にした休日勤務の割増賃金の支払い義務

勝手にした休日勤務の割増賃金の支払い義務

従業員が勝手に休日労働をした場合、会社は休日勤務手当を支払わないといけませんか?

原則的には、勤務した時間に対して、会社は休日勤務手当を支払う必要があります。

労働基準法(第37条)によって、従業員が法定休日に労働した場合は、会社は休日勤務手当として、通常の賃金の135%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。

したがって、原則的には、休日労働をした時間に対して、会社は135%以上の休日勤務手当を支払わないといけません。

しかし、就業規則に、「時間外労働、休日労働及び深夜労働を行う従業員は、事前に所属長の指示又は承認を得なければならない」というような規定があって、実際にも時間外労働や休日労働をするときに、所属長の指示や承認を義務付けている場合は、会社は休日勤務手当を支払わなくても構いません。

会社の指揮命令下に置かれている時間は労働時間となりますが、会社のルールに違反して行ったものであれば、指揮命令下に置かれていない(労働時間ではない)と主張できます。

また、最初は口頭で注意や警告をした上で、勝手な休日労働や時間外労働を繰り返した従業員に対して、就業規則に基づいて、始末書を提出させたりして、懲戒処分を行っていれば、会社として、指示・承認のない休日労働・時間外労働を禁止していることが明確になります。

一方、従業員が勝手に休日労働や時間外労働をして、所属長(会社)が気付いたにもかかわらず、放置した場合は、黙認していたと判断されます。結果的に、勝手に行った休日労働の時間に対して、休日勤務手当の支払いが義務付けられます。

従業員本人の判断で休日労働や時間外労働をしている会社では、どこかで抑制する仕組みがないと、長時間労働になって、休日勤務手当や時間外勤務手当の額が膨らんでいきます。

従業員が休日労働や時間外労働をするときは、その都度、所属長の指示や承認を義務付けて、「必要でない」と所属長が判断したときは、承認しないで、帰宅させること(休日労働や時間外労働をさせないこと)が大事です。

また、指示や承認をした時間を超えて、休日労働や時間外労働をしないように、管理を徹底することも重要です。

会社(所属長)は、就業規則の内容を理解して、就業規則の規定に従って運用する必要があります。