法定休日の特定方法

法定休日の特定方法

当社は週休二日制で土曜日と日曜日を休日としていますが、日曜日を法定休日として、日曜日に出勤したときは１．３５倍の休日勤務手当を支払えば良いでしょうか？

その方法で問題はありません。なお、労働基準法上は、１週間に１日（同じ週の土曜日）の休日を与えていれば、日曜日に出勤したとしても、法定休日に勤務させたことにはなりません。

労働基準法（第３５条第１項）によって、「１週間に少なくとも１日の休日を与えなければならないこと」が規定されています。これを法定休日と言って、１週間に１日も休日を与えなかった場合は、原則的には労働基準法違反になります。

また、労働基準法（第３６条）では、「従業員の過半数代表者と３６協定を締結して、労働基準監督署に届け出た場合は、第３５条の規定にかかわらず、法定休日に労働させられること」が規定されています。つまり、３６協定を作成して労働基準監督署に届け出た場合は、法定休日に出勤させても（１週間に１日も休日を与えなかったとしても）法律違反にはなりません。

そして、労働基準法（第３７条）によって、「法定休日に労働させた日の労働については、３５％（政令で定める率）以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないこと」が規定されています。

この３つの規定を根拠にして、従業員が法定休日に労働したときは、１３５％の休日勤務手当（割増賃金）を支払うことが義務付けられています。

法定休日については、１週間に少なくとも１日の休日を与えることが義務付けられているだけで、特に日曜日と指定されている訳ではありません。

したがって、日曜日に出勤させたとしても、同じ週の土曜日に休日を与えていれば、第３５条の規定はクリアしていることになります。その場合は土曜日が法定休日になって、日曜日は法定休日ではありませんので、労働基準法上は、１３５％の休日勤務手当を支払う義務はありません。

両方の休日に出勤させた場合に、１３５％の休日勤務手当を支払う義務があります。例えば、週休二日制で土曜日と日曜日を休日としている場合は、行政上の解釈では、１週間の後ろの休日が法定休日になることが示されています。

就業規則で特に指定していない場合は、「日曜日から土曜日まで」が１週間の単位となりますので、後ろの休日の土曜日が法定休日（１３５％の休日勤務手当の支給対象）になります。就業規則で「１週間の単位は月曜日から日曜日までとする」と規定すれば、後ろの休日の日曜日が法定休日になります。

原則的な考え方は、以上のとおりです。

週休二日制の場合は、その都度、法定休日に該当するかどうかを判断する必要がありますので、割増賃金の計算ミスが生じる可能性があります。また、土曜日（や日曜日）に出勤したときに、１３５％になったり・ならなかったりすると、従業員には理解されにくいと思います。

そのため、例えば、就業規則で「日曜日を法定休日とする」と規定すれば、土曜日の出勤の有無に関係なく、そのように処理することができます。質問のケースと同じ取扱いです。

厚生労働省の通達でも、「労働条件を明示する観点及び割増賃金の計算を簡便にする観点から、就業規則で、法定休日と所定休日の区別を明確にすることが望ましい」とされています。

また、会社が定める休日に出勤した場合は（土曜日も日曜日も区別しないで全部の休日に対して）、１３５％の休日勤務手当を支払っている会社もあります。

労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですので、そのとおりにする必要はなく、労働基準法の基準を上回る取扱いは問題ありません。就業規則（賃金規程）で、労働基準法より（従業員にとって）有利な労働条件を定めたときは、就業規則の規定を適用することになります。

休日については、労働基準法（第３５条第１項）のとおり、１週間に１日以上の休日を与える方法が原則ですが、労働基準法（第３５条第２項）で、４週間に４日以上の休日を与える方法も認められています。

この場合の法定休日の考え方（特定方法）は少し異なります。例えば、４週間で６日の休日を与えることとしていた場合は、その間に２日の休日出勤を命じて、後に残った４日が法定休日になります。先に休日出勤を命じたときは、暦の上で後ろの休日が法定休日にならないケースもあり得ます。