休日の出張と休日勤務手当

休日の出張と休日勤務手当

月曜日の午前中に取引先に訪問するために、休日の日曜日に移動(出張)したときは、会社は休日勤務手当を支払わないといけないのでしょうか?

日曜日の移動時間は、通常は労働時間には当たりませんので、法律的には休日勤務手当を支払う義務はありません。

労働時間に対しては賃金(休日勤務手当)を支払う義務がありますが、労働時間でなければ賃金(休日勤務手当)を支払う義務はありません。そして、労働時間とは、会社の指揮命令下に置かれている時間のことを言います。

通常、移動する交通機関の中では、従業員は居眠りをしたり、ビールを飲んだり、本を読んだりして自由に過ごせますので、会社の指揮命令下に置かれているとは言えません。したがって、移動時間は労働時間には当たりません。自分で自動車を運転する場合は、そこまでの自由はありませんが、会社の指揮命令下にないことは同じです。

要するに、出張のための移動時間は、通勤時間と同じようなものと考えれば分かりやすいと思います。通勤時間に対しては、会社は賃金を支払う義務はありません。

しかし、例外的に、移動時間中に商品や現金を監視させたり、会社が特別な指示をしている場合は、監視行為等が業務になりますので、移動時間は労働時間に当たります。また、商品を取引先に納入することが目的で出張する場合は(この場合は「出張」とは言わないと思いますが)、商品を持って行く行為自体が業務と考えられます。

したがって、この場合は、会社は賃金(休日勤務手当)を支払う義務があります。

以上のように、一般的なケースでは、休日の移動時間に対して、法律的には賃金(休日勤務手当)を支払う義務はありません。

しかし、従業員にとっては休日が削られて、それなりの負担が掛かることも事実です。従業員の負担を考えると、会社は出張に対して何らかの手当を支給することが望ましいです。このようなことから、多くの会社では、宿泊を伴う出張に対しては日当を支払っています。