危険手当と割増賃金の基礎

危険手当と割増賃金の基礎

当社では危険な作業を行う必要があり、従業員がその作業をした日は、危険手当を加算して支給しています。危険手当は、割増賃金の基礎となる賃金に含めないといけないのでしょうか?

その危険な作業を時間外に行ったときは、危険手当は割増賃金の基礎となる賃金に含めないといけません。一方、通常の業務を時間外に行ったときは、含めなくても構いません。

割増賃金の基礎となる賃金から除外できるのは、労働基準法によって、次の7種類に限定されています。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金(結婚祝金など)
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

危険手当は、どれにも該当しませんので、割増賃金の基礎となる賃金に含めて計算しないといけません。

危険手当を日額で決定している場合は、その日の所定労働時間で割って、時間給に換算します。

例えば、危険手当が1日につき1,600円、1日の所定労働時間が8時間とすると、1時間につき200円です。危険手当の支給対象となる作業をしている時間は、時間給が200円アップすると考えられます。

そして、基本給や他の手当も同様に時間給に換算して、危険手当を除いた額が1,000円だったとします。

危険手当の支給対象外の通常業務を時間外に行った場合は、その時間の勤務は1,000円が基準になりますので、1.25倍の時間外勤務手当は1時間につき1,250円になります。

労働基準法によって、割増賃金は「通常の労働時間の賃金」を基準にして、支払うことになっています。通常業務を行った時間は、危険手当を含まない賃金がベースになります。

一方、危険作業を時間外に行った場合は、その時間の勤務は1,200円(1,000円+200円)が基準になりますので、1.25倍の時間外勤務手当は1時間につき1,500円になります。危険作業を行った時間は、危険手当を含んだ賃金がベースになります。

以上のとおり、危険手当を支給している場合は、時間外に行う業務内容によって、割増賃金の基準となる額が変動します。また、休日勤務や深夜勤務を行った場合も計算方法は同じです。

日額で支給する危険手当について解説しましたが、同様に月額で支給したり、しなかったりする手当(賃金)として、皆勤手当があります。皆勤手当についても同様に考えられます。

無遅刻・無欠勤で皆勤手当が支給される月は、皆勤手当も割増賃金の基礎となる賃金に含めて計算する必要があります。一方、欠勤等があって皆勤手当が支給されない月は、皆勤手当を含めなくても構いません。

その月のベースとなる賃金で考えると、理解しやすいと思います。